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理想の具現化 < Side C
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「む…、むむむ…?」
一眼レフのレンズを覗き込みながら、不穏な声を零す。
ズームアップした被写体は、柔らかな空気を纏う綺麗な人物。
長い栗色の髪は、ふんわりと肩口で結ばれ、垂れた目許が底知れない色気を孕む。
僕がこのレンズに収めたいのは、その人物の隣でふんぞり返っている男〝aim〞。
だけど、そのエイムと親密な空気を醸す隣の人物の方に意識が持っていかれてしまう。
くっそ。なんなの、あの色気。
年齢のせい? 髪が長いから? あのタレ目のせい?
エイムのタイプの、ど真ん中。
あんな理想を具現化したような人物が現れたら、持っていかれるに決まってんじゃんっ。
レンズの先で、不意に立ち上がったエイムは、お色気お兄さんの頭をふわりと一撫でした。
な? なっ? はぁ?
なんで、頭撫でられてんの?
なんで、なんで? 羨ましすぎるんですけど?!
僕は、カメラを構えたままに、心の中でぎりりっとハンカチを噛んだ。
彼の艶やかさが、どこから湧いているのか研究してやろうと、僕は無心でシャッターを切りまくっていた。
「なぁにしてんだ?」
後ろから、にゅっと伸びてきた手に、カメラのレンズを掴まれた。
降ってきた音は、僕の大好きな人の声。
いつの間に?!
かばっと振り返った僕の視界には、鋭い瞳で窘めてくるエイムの姿が映る。
「わーっ。ごめんなさい、ごめんなさいっ」
思わず、両手で頭を覆った僕。
「やっぱ、コマかよ。レンズに光、反射してたんだよ。敵さんかと思うだろ」
エイムは呆れた声を放ちつつ、僕の手の上から頭をポンポンしてきた。
そろりと顔色を窺う僕に、奪った一眼レフを振って見せるエイム。
いつもなら、こんなへまはしないのに。
エイム好みの綺麗なお兄さんがその隣を陣取っていたんだ、気になって、気もそぞろになるのも仕方ない。
エイムは僕から取り上げた一眼レフを操作し、撮り貯めた写真を確認し始める。
「相変わらず、ザ・盗撮って写真ばっかだなぁ」
呆れ塗れの声色が、写真に映っている人物を確認した瞬間にドスを孕んだ。
「誰の依頼?」
エイムの据わった瞳が、僕を睨めた。
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