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傷物の君 六
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今からでも、全て見なかったことにして喜津愛を外に放り出してしまえばいいのではないか?
いや、そんなの絶対ダメだ。
せめて喜津愛が高校生になるまでは面倒をみるべきだ。
「喜津愛、ご飯にしようか。何食べたい?」
ダイニングに行くと、足元にいる喜津愛を見て、俺は首を傾げた。
ダイニングはキッチンがある部屋と同じところにあって、中央に二人用のテーブルと椅子があって、その目の前にに棚とゴミ箱が置かれている。棚の上にはテレビがあって、その隣にはリモコンがある。
「……わかんない」
「じゃあ暖かいものと冷たいものならどっちがいい?」
「暖かいの」
……おでんにでもするか。
冷蔵庫に温めるだけのがあったから、それを鍋に入れて温めてから、箸を用意した。
喜津愛の食欲がどれくらいなのかわからなかったから、念の為米も二号炊いた。
早炊きにしても炊くのに四十分はかかるから、おでんだけ先に食べることにした。
「「いただきます」」
テーブルにおでんが入った鍋と箸と小皿を用意してから、声を揃えてそう言った。
「真にぃ、これ何?」
がんもどきと卵とちくわとはんぺんともち巾着が入っている鍋を指さして、喜津愛は首を傾げる。
は?と言いそうになったが、既のところで飲み込んだ。
「おでん。喜津愛食べたことない?」
「うん。真にい、これってどうやって食べるの?」
「箸で挟むんだよ、こんなふうに」
箸でがんもどきを挟んで、喜津愛に見せた。
もしかして、箸の使い方を知らないのか?
そもそも家で名前を呼ばれていなかったのに、自分用の箸は持っていて、自分用の服も持っているなんてことあるのか? そんな風じゃなかったから、裸だったのではないか?
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