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B A C I ! -可愛いあの子を嫁にするのはこの俺だっ!-
02
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派手な金髪頭がこれみよがしに泣きべそをかいてみせる横で、脚立を立てて、泣き真似を受け流しながら本を棚に戻しているのが、俺、紫堂 全の好きな人。
ツヤッツヤストレートの黒髪が童顔の小さな顔をくるんと覆い、まん丸の黒目がちな目は長いまつ毛に縁取られて、ほんとため息が出るくらいかわいい。
男の子なのに白雪姫みたい!と言われ続けること16年。最近、高校デビューなのか「ぼく」から「おれ」に変わって、妙にツンツンしだした、それでも世界一かわいい、俺の大好きな幼なじみ。
それが滝河 結威(たきかわ ゆい)、俺のゆいたん。
小柄で優等生タイプのゆいたんと、世間的にチャラ男と言われるタイプの俺とでは、「何でお前らつるんでんの?」とよく聞かれる。
そのたびに、俺は満面の笑みでこう答えていた。
「ゆいたんは、将来俺のお嫁さんになるひとです。なのですんごく可愛いですけど、みんな手出しはしないよーに!」
と。
もちろん、すぐ後に「ばかっ!そんなんじゃない!」とゆいたんにど突かれるのがセットの自己紹介である。
『──ほら、全ちゃん。あの子がゆいちゃんよ』
そう、あの時も、確か夏の初めだった。
6歳の夏、母さんと初めて訪れた空港で、俺は人生最大の恋に落ちた。
大きな荷物を引いた伯父さんと伯母さんの影から、ちょこんと顔を出した黒髪の男の子。
その姿を見た瞬間、俺は、特大の雷に打たれたみたいにドカーンとシビれた。
その子は俺の母さんのお姉さんの子供、つまりは俺の従兄弟で、
サプライズ好きな母さんに、その日初めて「実は全ちゃんにはアメリカに住んでいる従兄弟がいるのよ!」って聞かされた日のこと。
空港には「飛行機を見に行こう」って連れていかれたのに、着いたのは到着ロビーで、その時、俺は初めてゆいたんの存在を知った。
最初は天使が舞い降りたのかと思ったくらい、小柄で、色白で、うるうるした大きな目をしていて、目が合った瞬間、もう、この子だ!ビビビ!っと来て、ようやく買ってもらったばかりの飛行機のプラモを落っことして壊しちゃうくらい、俺に人生最大の衝撃が走った。
だからそん時俺、初対面で言っちゃったんだって。
「大きくなったら、ぼくのお嫁さんになって!」
──って。
肝心の俺は、興奮しすぎてて覚えてないんだけど。
それが、俺とゆいたんとの記念すべき最初のプロポーズ。
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