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B A C I ! -可愛いあの子を嫁にするのはこの俺だっ!-
04
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「…図書委員ってさ、結構大変だよね。この本、全部手作業で元の場所に戻すんでしょ?」
背中をざわりと撫でた嫌な感じを振り払うように、全はワゴンの中から本を取り、結威に渡した。
「ロミオとジュリエット」の英語版だった。結威は「ありがと」と本を受け取る。
上の方にある洋書コーナーに本を戻すために、結威が脚立の上で背伸びをした。
小柄な背中のシャツに皺が寄り、なんだかそれが官能的に思えて、全はウッと前のめりになる。
はぁあ、抱きしめてぇ~…。
今すぐ抱きしめて、その背中にいっぱいキスをして、真っ赤になった可愛い顔が見たいよ。
そんなんやったらぜったい怒られるけど。
あ、やば、勃ちそ…。
「…ね、やっぱ俺も手伝うよ。そのほうがさ、早く終わるし」
「ううん…いいよ。だから、先に帰っていいってば」
「ヤだ!ゆいたんと帰りたいんだもん。帰り道独りじゃしんぱいだし、俺ゆいたんのボディーガードだから」
「はぁ…もう子供じゃないんだから、もういいよ、そういうの」
「やだやだやだ!やーだーー!俺がゆいたんと一緒に帰りたいの!それにまた変なおっさんに絡まれた時、俺がいないと困るでしょっ!?ゆいたんすぐそういうのに目ぇつけられちゃうんだから」
「う…もうっ、わかったから大人しく待ってて!」
そう言って、ぷいっ、と顔を背ける。そんな姿まで可愛くて仕方がない。
はぁ、もう難しいこととか、俺わかんないよ。
ゆいたんが可愛い、愛しい、大好き。ぎゅーっと抱きしめて、キスしたい。それだけでもう、よくない?
男同士だとか、従兄弟だからとか、幼馴染だとか、そういうしがらみみたいなもん全部いらないよ。
ゆいたんが好き。周りがどうこう言おうが、ただただ、俺のとなりを歩くのは君であってほしい。
あぁ、ロミオ、今なら俺、お前の気持ちよくわかるよ。
読んだことないけど。
「…ねーぇ、ゆいたん」
「何?」
俺のことどう思ってる?
「…んーん、なんでもなぁい」
喉元まで出かけた言葉を飲み込み、全は机に寝そべる。
結威は不思議そうに首を傾げていたが、全の奇行には慣れたもので、すぐに作業に戻っていった。
うう、俺のいくじなし。
でもさ、男同士で、ほとんど近親者で、幼なじみで…そんな奴に本気で好きだって言われたら、普通、どんな顔するもん?
ショックとか、嫌悪とか、そういう顔向けられちゃったら、俺、立ち直れないかも。
俺だってこの心地良い関係を、崩したいわけじゃない。
でも、この気持ちをしまったまま君を見つめるのも、正直もう限界です。
ゆいたんが俺のこと、恋愛対象として「好き」かどうかはわからないけど、少なくとも嫌われてはいないと思う。
ならいっそ、いつか誰かに取られるぐらいなら、
今、思い切って柵を乗り越えて伝えてしまったほうが…。
ロミオみたいな、悲劇のすれ違いせずに、済むんじゃない?
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