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B A C I ! -可愛いあの子を嫁にするのはこの俺だっ!-
05
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全はゴクリと喉をならし、ゆっくりと立ち上がる。
下段の本を取ろうとして、梯子から降りてきた結威と、カチリと目線が合った。
ぜん?と、小さな唇が、音もなく動く。
ええい、覚悟を決めろ、俺!
「な…えっ?」
身構えた結威を捕まえて、全はその唇に唇を押し当てた。
突然のキスに、びくん、と小さな体が震える。
触れた唇は思ってたよりずっと柔らかくて、頭の芯までとろけるかと思った。
すぐに顔を離すと、まん丸の目がこっちを向いていた。
ぽかん、と、たった今起きたことが、わからない様子で。
あ、かっわいーい。
「──ばかっ!」
しかし、心が浮かれたのは一瞬で、次の瞬間には、頬に熱を感じていた。
バシッ、と頬を叩いた力は明らかに本気で、ごしごしと唇を拭い、まん丸の目がみるみるうちに涙でいっぱいになっていく。
それを見ていたら、ぎゅ、と胸が締め付けられた。
恥ずかしそうに目を伏せるとか、嬉しそうに微笑んでくれるとか、ちょっと期待しちゃってたわけよ。
なのに…まぁ、トーゼンっちゃトーゼンか…
あーあ…やっちゃった、俺。
「イテテ…あのね、ゆいたん…」
「ばっ…ばかっ!全のばかっ!な、何考えて…冗談でも、していいことと悪いことがあるだろっ…!?」
「うん…ごめん。でも、冗談なんかじゃないよ」
「なっ…何言って…!」
「好きなんだ」
突き放そうと振り上げられた手を捕まえて、全は全身で結威を本棚に押し付けた。
びくっと震え、結威が身体を強ばらせる。
「な、何…言っ…?」
「俺、ゆいたんが好き。本気で愛してるの。だから18歳になったら、俺と結婚して」
そう言いながら、左手の薬指にチュッと口付ける。
結威は硬直していた。固まったまま、イエスともノーとも言わない結威を、全はそっとのぞき込む。
まん丸の大きな目を見開いたまま、結威は小さく唇を震わせていた。
やがて強張った顔から、ぽたりと涙が落ちる。
あ…。
「ふ…ふざけ…てるの…?」
「…え?ふざけてなんかないよ。本気も本気。ねぇ、俺の顔ちゃんと見て?」
「な…何かの、罰ゲーム…?」
「違うってば。いつも言ってるでしょ?俺、ゆいたんと結婚したいって…」
「っ…!そんなの、やっぱりふざけてるじゃないか…っ!全の、そういう軽いところ…っ!大っ嫌いだ!」
ドン、と体を突き放された衝撃より、掠れた言葉のほうに胸を刺されたような感覚がした。
こんなに本気なのに、軽いって、何?
それにさ、
大っ嫌い、なんて──あんまりじゃん。
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