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B A C I ! -可愛いあの子を嫁にするのはこの俺だっ!-
08 *
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苦しそうに荒く吐く吐息は甘くさえ感じられ、引き寄せられるように全はキスを求め、顔を近付ける。
「ど…う、して…?」
唇が触れる寸前、結威がポツリと声を漏らし、全は目蓋をあげた。
ぽろぽろ涙を零す大きな瞳が、悲しげに眇められる。
「ゆいたん…?」
「な…んで…なの…?なんで…急にこんな、意地悪…。ごめん…なさ…おれが悪いなら…謝る…から…」
「…意地悪なんかじゃ、ないよ…ねぇ、ゆいたん、どうしてわかってくんないの?俺…こんなこと出来ちゃうくらい、本気でゆいたんのこと好きなんだって、わかってほしいだけだよ」
「そ…んな…わ、わかんないよ…。だって…だってぜんは、ずっと、友達…だったのに…」
か細い声で漏らされた「答え」に、胸がぎゅっと切なくなる。
嫌、嫌だ、諦めたくない。
「…っ」
全がギュッと唇を噛み、自分の前髪をくしゃりと掴む。
ようやく解放してくれるのだろうか。結威はおずおずと全を見上げたが、結威を見下ろす全の視線は、今までにないほど暗く澱んでいた。
「ぜ、ん…?」
ビクリと怯える結威を、全は無言の後ろを向かせる。
結威がバランスを崩し、机に手をついたところで、腰をグッと引き寄せた。
「ひっ!?」
尻に硬いものを押し付けられる感覚に、結威が震える。
机に着いた手を包み込むようにして、全は結威の耳元に囁いた。
「ゆいたん…お願い。受け入れて。俺のこと」
「!」
動けなくなった結威の背後で、鞄を探る音、何かを破く音がする。
はらりとテーブルに落ちてきたのは、中身のなくなった二枚の小さな袋。自分には縁がないと実物はまじまじと見た事はなかったが、その存在は保健体育の時間に習っている。
うそ、うそ、これ…──。
言葉もないのか、結威ははく、はく、と唇を動かし、首を横に振った。
何を言っているの?
何が起きているの?
今、ここに居るのは、あの明るい全なの?
今、結威を縛り付けているのは片手だけ。
振り払って逃げようと思えば出来るはずなのに、足が竦んで動けなかった。
こんな全、知らない。
こわい、こわいよ。
いやなのに、どうしよう、声が出ない──…。
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