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8)始まりの事件
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『なぁ、最後に1回会えないか?』
電話越しに聞いた別れたばかりの元恋人の声は、どこか寂しそうで。俺は着の身着のまま、スマホも財布も持たずに家を飛び出した。
彼の顔を見た瞬間に後悔したが、時すでに遅し。腕を掴まれ引きずり込まれたのは、逢瀬の時によく使っていたラブホテルだった。
「シャワー入って準備してこい。」
「川藤さ」
「聞こえなかったのか!とっとといけ!」
尻を後ろから蹴られ、バスルームへと押し込まれる。これから怖い事が起こる。その空気をひしひしと感じながら、それでも心のどこかで「川藤さんなら優しくしてくれる」そう思っていた。
急いで準備を済ませて部屋に戻ると、すでに全裸でベッドに座っていた川藤さんに腕を掴まれる。すごい力で掴まれて、ベッドに投げ出された頃には赤く痕になっていた。
「川藤さん?」
「うるせぇ!黙れ!」
思いっきり左頬を殴られる。衝撃で目の前がチカチカする。皮膚が切れたのか、口の中に血の味が広がった。殴られるのは初めてで、いつもと違う様子の川藤さんに困惑してしまう。
「お前の差し金だろ!」
「な、なにが?」
「俺が、この俺が!文芸から異動になるなんておかしいと思ったんだよ!」
何度も何度も殴られて、そこから先の記憶は曖昧だ。急に入れられて少し穴が痛んだが、切れてはいないと思う。俺にとっては、川藤さんは最初の彼氏で、男との経験は川藤さんとしかない。後ろで感じられるようになったのは川藤さんのおかげだ。ぼーっとした頭で、そんなことを考える。
「ほら、中に出してやるから、お前も楽しめよ!」
「んんっ?!」
気が付いたらタオルで猿轡をされ、川藤さんのネクタイで手首を縛られていた。両足を掴まれて、どちゅどちゅと奥を突かれている。
「ほら、いくぞ!」
「んんんんんっ!!」
中出しされたのは人生で初めてだった。中に、びゅるるっと液体を出されたのが分かる。こわい。そう思った。けれど、川藤さんは止まってくれない。
「残念だったな。このために薬も飲んできてやった。せいぜい苦しめよ。この肉便器が!」
射精しても衰えない陰茎で、続けざまに突き上げられる。
「汚ぇなぁ。中に出されて感じたのかよっ。」
いつの間にか、俺も射精していた。前立腺を何度も突かれたら我慢出来なかったのだ。自分の精液が腹を濡らし、突き上げられる事で胸の方まで流れてきた。
「本当に、汚ぇ。顔もぐしょぐしょだぞ。ははっ!汚いお前にお似合いだな。」
猿轡を噛まされて閉じれない口から唾液が垂れ、恐怖と快感から流れる涙で視界がぼやけ頬が濡れる。
「汚いお前の相手をできるやつなんて俺しか居ないってのに、どうして俺を捨てた!」
「んーんっ!」
「はぁ?何言ってっか分かんねぇよ!!」
捨てたんじゃない。忙し過ぎて付き合えなくなっただけだ。片手間に付き合える程、器用では無い。恋人の事を考える脳のリソースを、作品の事を考える分に充てなければならなかった。
そうこうしているうちに、何度も何度も中に出されて腹がパンパンになってくる。後ろの穴がグチュズチャと、まだまだ固いままの陰茎が出し入れされる度に嫌な音を立てる。
「気持ち悪いやつ。腹の中、男の精液でパンパンなのに、まだ感じてるのかよ。」
「んーーーーっ!!」
腹を上から押され、揺すられていた半立ちの陰茎を思いっきり掴まれる。あまりの痛さに気を失いそうになると、また頬を殴られた。
「気絶してんじゃねぇ!もっと後ろ締めろよ。折角出してやったのが漏れるじゃねぇか!」
中を突かれながら、前を擦り上げられると、意に反して身体は熱くなっていく。
もう許して欲しかった。俺が悪かったのかもしれない。あんなに優しかった川藤さんが、こんな酷い事をするなんて考えたくもない。
次に気が付くと、ベッドの上に放置されていた。ネクタイは外され、川藤さんの姿はどこにもない。そこら中痛む身体で何とか服を着て、ホテルから出た所で意識を失った。
「うわっ!!」
はぁはぁはぁ、っと浅い呼吸を繰り返す。心臓がバクバクと早鐘を打って、背中に冷たい汗が伝う。
まただ。布団の上で体育座りになって、膝を抱える。俺はまだ、あの日の出来事から立ち直れていない。
「……小説、書かなきゃ。」
すっかり暗くなっていた部屋の電気を点け、布団をたたみ、またノートパソコンへと向き直す。とにかく今は書き続けるしかない。川藤さんが俺に与えてくれた仕事を必死に片付ける。俺には、それしか出来ることが無かった。
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