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出逢い
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三輪車で走り回る男の子たち、フラフープをしている女の子、それを見た周りの子たちが手を叩いていたり。
みんなが外で楽しそうに遊んでいる中、ひとりだけベランダからぽつんとその様子を眺めている小さな背中があった。
「陽太くんはみんなと遊ばないの?」
そう隣で聞いてくる先生の質問に力なくひとつ頷くと、また外を眺めた。
かといって、何もやることもなく、足をブラブラと振る。
「遊んできたらいいのに〜、楽しいよ?」
そう言って先生は立ち上がると、ヒーローごっこをしている子たちの輪へと入っていってしまった。
…また、ひとりになっちゃった。
先生が側に居てくれるだけでも良かったのに。
ぼんやり外を眺めていると、隣に腰掛けて靴を履き始める男の子。
「ねぇあそぼ!」
突然、輝いた笑顔の男の子がこちらを見てそう言った。
「ぼく?」
「うん、そう!いっしょにあそびたいなって、おもった!」
「…あそぶ」
「じゃあじゃあ、なにする!?あっ、なまえなに?おれ、こう!」
「…ようた」
「ようたくん、あっちいこ!」
つられて笑顔になったのも気づかないまま、大きく頷く。
そして、いつでも外に出れるようにと履いていた靴で駆け出した。
こう、と名乗った男の子に手を引かれて。
これが人生を狂わせる、ひとつの出会いだった。
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