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今何時!
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「って今何時!」
人懐っこい笑顔で笑っていた先輩が、
わっと慌てた表情になる。
本当に忙しい人だ、
「あー何時かな。まあ、大丈夫ですよ。母親には友達んちで勉強して遅くなるって言ってますし」
「いや、これはだめ。田代くん未成年だし。本当にごめんな.....」
ベンチの上で正座からの深々土下座。
公園に散歩にきていたお姉さんと犬がこちらを一瞬みて、すたすたと去っていく様子が見える。
あれ
この状況、なに?
ベンチの上で土下座する男性に
目の前で体育座りする男ってカオスすぎない?
お姉さん〜犬くん〜
誤解ですよ〜
という心の声は聞こえないようだ。
まあ当たり前か。
「いや、謝んないでください!それよりまた先輩とお話できてちょっと嬉しいんですよ、俺」
しゃがみこんだまま、顔をあげると
目がバチっとあってしまう。
あれ、俺なんか恥ずかしいこと言ってない、よね。これはセーフ、大丈夫だよね。
「田代くんってキラーだよね。さらっとそういうこと言っちゃうところ、本当に昔からそうだよ。」
少し嬉しそうに微笑む先輩。
様子からしてセーフみたいだよかった。
昔からやることなすこと、驚かれたり、固まられたりすることがあるから少し怖い時がある。
よいしょとベンチから降りてくる。
さらさらの真っ直ぐの髪。寝ていたからかぴこんとアンテナのような寝癖がついており、パーカーのフードもひっくり返っている。まだ酔っているのかおぼつかない足取りで立ち上がる。言えないけどちょっとかわいい。
「ごめんごめん、んじゃ帰ろうか」
「はい、先輩おうちどこなんですか」
「いや、俺が送るよ」
「え!いいですよ!別に!!先輩のが危ないのに」
「ううん、だめ。もしなんかあったら顔向けできないし」
「......適当なのにそういうところ真面目ですよね」
「余計な言葉聞こえたけど、お前のファーストキス貰っちゃった責任取らなきゃな」
「......!!そ、れ!もう忘れてくださいよ!!!」
「やだね。超モテモテのイケメンくんのファーストキスなんて最高じゃん。明日皆に自慢しよ〜」
「先輩!!!」
あはは、と楽しそうに笑う先輩に
追いつくように足を進める。
本当に、この人は変わらない。
いつでも笑顔で一緒にいると楽しくて
周りも明るくして、陽だまりのようで。
不思議な人だ。
何年経っても。憧れの人だな
.......こんな人になりたい。
キス......しちゃったんだよな。
口笛をふきながら、歩いていく先輩の背中をみて、複雑な気持ちになってしまう。男同士でふざけてしたんだろうか...いや、どういうノリ?酔っ払うと大人の人はキスするもんなの?うーん。俺ももう少し大人になれば分かるのかな。
先輩、と、キス
「あ、俺、田代くんのおうちわかんねーや。こっちであってる─────ってなんでそんな真っ赤になってんの?思い出しちゃった?」
振り返った先輩が
にやりと笑ったのをみて
さらに顔が赤くなっていく気がしてしまった。
「逆方向です!!!」
「あはは、怖いって。なんだよ〜早く言えよ〜」
あー心臓がおさまりそうにないのは
どうしてなんだろうか。
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