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早速デートが始まりました。
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待ち合わせ場所についた俺は、予想していた光景に後ずさる。
やはり周りに数人の女を侍らせては、何も気にせずにスマホを弄っている。どうやって生きていればそんなパーティーが作れるんだ。
まぁ俺だってそんなパーティーの仲間入りをしたわけなので、話しかけることすら簡単。
まずは手のひらに人という字を3回書きます。
「先輩、デート行きましょ?」
「ひょ」
あまりにも近付きたくなくて、グダグダと時間を潰そうとしていたらいつの間にか目の前に本人の姿。
学校では見られないしっかりセットされた髪に、自分のパーソナルカラーを完全に理解している程似合っているセットアップ。
輝いている。これ、少女漫画で見たやつだ!と進○ゼミ並に既視感を抱く。
「俺のこと気付いてたんだ、えと、本日はお日柄もよく、てか女の子は」
「先輩のことなんてすぐ見つけられますよ。
それに女子と話すためにここに来たわけじゃないんで」
モテそう(小並感)実際モテてる。
今掛けられて一番嬉しい最適解を瞬時に口から出している。AI位正確。
「わ、わかった」
それに比べて俺は、気を使った返事なんか出来るはずがなく。
俺も楽しみにしてたよの一言ぐらい言えれば、きっと彼も喜んでくれるのにな。
「それとあの、先輩、その服…」
いやもう許してくれ。誰か俺を救済してやってくれ。これでも持っている服の中で一番マシな物を選んだつもりで。
「耳、付いてるんですね。可愛い」
「は?なに?耳??」
フードを被り触って確認すると、先の方には申し訳程度にテロンと垂れ下がった兎の耳。兎にしては小さくクマにしては長い。
服の柄だけ気にしていて気づけなかった。記憶を辿ると数ヶ月前にいらないと思いつつもこのヘンテコなパーカーがついてくる予約特典を購入した気がする。あぁこれを知らずに街中を歩いていたわけだ。殺してくれ。救済なんていらない。むしろ死が救済なまである。
「ごめん。助けて、知らなかったんだ。まだ初犯だし、」
「可愛いですって」
「は?」
「可愛いよ先輩。大丈夫、」
「どーも。そんなことより助けて。」
可愛いというそんな言葉をドストレートに言われるのは気分が良い。けどそんなことよりも高校2年生男児がケモ耳を付けているどこぞの同人的な絵面の方が気になってしまう。
「先輩顔赤い?」
「この状況のせいです」
今日も日本は平和なもので、
獣耳を付けた変態と、それを褒めるイケメンと、
そのイケメンを凝視する女子と、それをナンパしようとする男と。連鎖している。
ぷよぷよなら今頃全消しできていた。
「こういう服、好きなの?」
それもそれで趣味を疑うが。
「いや、服がどうとかよりも、先輩が着てるから可愛く見えるのかもしれませんね。
けど、そんなに気になるんだったら新しくしましょうか」
佐藤くんがにこやかに連れてきたのはアパレルショップ。今どきの。
絶対今の格好を専門家に見せる訳にはいかない。
店員が俺のファッションについて来れない。置いていってしまう、時代の最先端に。
滝のように手汗も冷や汗も流れてくる。
「先輩に、もっと色んな服着せたくて、、」
そんな顔されると、俺の中の包容力が全力で発揮してしまう。
男、坂原桜。ここは一肌脱がせて頂きます。
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