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和樹×遼 Ⅰ-1
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どうしてこんな事に…。
俺は現在、軽くピンチだ。
原因はわかってる。
――昨日のことだ…
「ただいまー。疲れた…」
俺、中里遼(はるか)は仕事から帰って早々、リビングのソファに沈んだ。
「遼、そんなとこに寝ないで着替えて来いよ」
スーツが皺になる。と俺の同居人兼恋人の高岡和樹に、追い立てられた。
「んー…。動くの面倒…」
「そんなこと言ってないで、さっさとしないと、飯抜きだからな」
「それは…困るな…」
俺はダラダラと体を起こした。そして…
「何、その手」
和樹に向かって、両手を差し出した。
「抱っこv」
小首を傾げてみる。
「…………」
しらーっとした目で見られた。
「……わかってますよー。こんな事しても可愛くないもんねー」
やっぱり無理かと言いながら立ち上がって、寝室に着替えに行った。
和樹とは一緒に暮らし始めて3年になる。
5年くらい前、たまたま一人で飲んでいるところをナンパされて、意気投合。
俺好みの長身に低音の甘い声。
アッチの方の相性も良かった。
こんなに長く付き合うとは思ってもみなかったけど、まあ良かった。
同居は、和樹が俺の家に居座る形で始まった。
家事能力がほぼ皆無の俺を心配して、このままじゃ早死にする。とか言ってたな…。
そう思い出して、苦笑いしながら、リビングに戻った。
「今日の晩ご飯はなんですかー?」
「遼の好きなオムライスとサラダとスープ」
「おー。和くん大好きー」
和樹のほっぺたにキスをお見舞いする。
「ゲンキンなやつだな」
俺は機嫌よく席についた。
「いただきます」
さっそくオムライスを口に運ぶ。
「んまーv幸せ…」
「うまいか?よかった」
和樹が俺の顔を見て、にこりと笑う。
「…くそぅ。かわいいじゃねーか」
ボソっとつぶやいた。たまにイイ笑顔を見せるから、何となく恥ずかしい。
「いい嫁さんになれるよ。和樹は」
恥ずかしさを紛らわせるように言った。
「奥さんは…遼の方…じゃない?」
夜だけ。と和樹に言い返されて、俺はぐっと黙った。顔が熱い。
「ああ、ほら遼、おべんとついてる」
俺の口元についていた飯粒を、ひょいと取って自分の口に入れた。
「…っ」
そこまでされると本当に恥ずかしい。
わたわたと食事を続けようとして、スプーンを持ち直したら、弾みでスープカップが倒れる。
「あ…」
ほとんど入っていなかったので大事には至らなかったが、少しテーブルにこぼれた。
「なにやってんの」
クスクス笑いながら、テーブルを拭いてくれる。
「…ごめん」
俺は居たたまれなくなってうつむいた。
「ほんと、遼は仕事以外はどんくさいな」
仕事中はしっかりしてるのにね。と言われて、ますます沈む。
和樹は、俺の会社の取引先の人間だ。
ナンパされた後、会社でばったり会って驚いた。
俺の会社での様子を知った和樹は、ギャップがすごい。としきりに言う。
「…どーせ、ダメな子ですよ…」
ちょっと拗ねてみた。
「いいんじゃないの。仕事関係なかったら、ダメな子でも」
よしよしと頭を撫でられる。
「う~…。俺だってダメじゃないこともあるよ」
ついこんな事を言ってしまった。
思えば、これが悪かった。こう言わなければ
「そう?じゃあ、ダメじゃないとこ見せてもらおうかな?」
和樹にこう言い返されることもなかったのに…。
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