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奴には速攻バレました
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一瞬何が起きたか理解出来なかった俺は、驚きに目を瞬かせた。
「何をしているんだ」
凛とした声が頭上から降ってくる。
え、と上を仰ぎ見ると、眼鏡のガラス越しに切れ長の瞳と目があった。
「え?」
気の抜けた様な声をもらすと、もう一度「何をしているんだ」と問い掛けられる。
声の主は整った顔立ちの青年で、俺の腕を掴んだまま上から見下ろしていた。
あれ、こいつ何か見覚えがあるんだけど……。
ふと声の主の顔に見覚えがあり思考を巡らせた。
眼鏡、少し長めのツンツンヘアー、目付きの悪い瞳。
えーと
えーと
…………あ。
「国……光? 手塚のおっちゃんの息子の?」
そうだ、手塚国光だこいつ!
よく夜遊びに出ては喧嘩騒ぎを起こす度に警察署の少年課に補導されてた俺。そこで俺の担当警察官が手塚って奴だった。
そいつが「夜遊びするくらいならうちの家に遊びにおいで」と言ってくれて、ほぼ毎日の様に行ってたんだけど……確かその時にこいつにあった事あるんだ俺。
相手も暫く俺を見つめた後、ハッと何かに気付くように一瞬目を見開き呆れの溜め息をもらした。
「コート内で乱闘が起こってると聞いて来てみれば……お前か翠。それに何だそのふざけた格好は。お前はおと「うわーっ、国光ストップストップーッ!」
男だろう、そう言葉を紡ごうとした国光の口を慌てて塞ぐ。
なんって事言おうとしてんだこのバカッ
「あのな国光」
グイッと肩に手をかけ引っ張る。そして耳打ちするように国光の耳元へ唇を寄せた。
「これには海より高く山より低い理由があるんだ」
「海より深く山より高いだろう」
「訂正なんてしなくていいんだよ! いいか? 俺が今男だとバレます、そしたらどうなると思うよ」
問い掛けに国光は「退学だな」と即答を返す。
「そう、退学。わかる? 退学。ここを退学になったらもう次は県を越えなきゃならなくなるわけ俺は。ここが最後の砦なのよ」
まぁそういいながらさっそくつい今しがた乱闘騒ぎを起こしちゃった訳だが、見付けたのが国光(他数名)なら言いくるめられる!
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