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「あれ、なんか機嫌よくなってるね」
「そうか?」
生徒会室に戻り仕事を再開すると冬夜に声をかけられた。そんなはたから見ても分かるのか?ていうか機嫌いいの?俺。
「息抜きしてきたからな」
「…ふーん」
ただの息抜きで、そんなにも変わるのか?とでも言いたげに不思議そうな顔をする冬夜。
「あと少しで今日の分終わるから、冬夜先に帰っていいよ」
「分かった、お疲れ様」
「お疲れー」
「あー、疲れた」
一通り仕事を終えて今日は帰ることにした。いつもより早いが軽く見回りをする事にした。本当の見回りは担当の教師がいるのだがある程度の戸締りなどは生徒会が事前にやっておくのだ。
「ここも何で開放してんのかねー」
屋上に見回りに来たが、この場所は本当に人が寄りつかない。生徒達がいる教室からは遠い場所に入口があるため人は中々こない。屋上自体には柵はあるものの逆にそれ以外は何もなくて面白くもなんともない。溜まり場になるかと思えばそうでもなく、他の空き教室や階段裏の方がまだ人がいる。そのくらいこの屋上には中々人は来ない。
それでも一応の確認として人の有無をしてから戸締りしなくてはならない。
少し重めの扉を押した。
「あれ?」
誰もいないと思って開けた扉の向こう、いたのはさっきあった彼。
「優木君?」
「あ、え?、は、はい」
何をそんなに狼狽えてるんだ。
「1人?こんな所で何してるの?」
「や、別にーその、あの…ですね…」
中々目を合わせようとしない優木を不審に思い、不意に彼の足元を見れば本来学校で目撃してはいけない物が。
「いやー、そのー、なんか外の空気を吸いたくなって…」
そんで吸ってたのが煙草なわけね。おかしいだろ。
「あ、そうなんだ~。でもなんか少し煙くない?」
そう言えばヤバイといった表情をする優木。バレてないとでも思ってたのか。
「それー、君の…だよね?ここ学校なんだよねー、あと俺たちまだ高校生でしょ?」
ニコりと笑いながら言ってやるとはいそうですと意外にも素直に返事をした。それもそーか。こんな今まさに吸ってましたみたいな状況で言い訳できるわけないもんな。肩を落とし諦めの表情をする、まさにがっくしと言った様子だ。
「んー、まあ。そうだな。君これからさ俺が呼び出したらすぐ生徒会室来てね」
「…は?なんで」
「なんでも」
半ば強制的に言えば当たり前に反論されるのだが、それ、と言い吸い殻を指せば押し黙った。
「わかりました…」
別に擁護するわけじゃないし、こういった類の事を推奨してもないけど…。真面目に教師に報告してもそれもなんか違うし。まあ、生徒会長の俺が見逃してる時点でおかしな話だけど。そんな事よりもそこで早々にこの件を片付けるよりも多少の他人の弱みを握った方が事は上手くいく。外面の良さも性格の悪さも自覚済みだ。笑えてくる。何よりもこいつ、優木の事って所が俺の中で大きい、そんな気がした。
「はは、おもしれーな」
優木が屋上を出てった後にあいつが忘れてった吸い殻を拾い上げながら笑いがこぼれる。いやー、今日の俺ついてるわ。
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