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球技大会当日:10
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男が振り向いた先にいたのは神戸、神戸浩志だった。
「何してるんですか?って聞いてるじゃないですか、3-C 山本先輩、清水先輩」
「なっ…」
「あ!俺、全校生徒の顔と名前すぐ分かりますから」
にっこりとしたいつもの笑顔で男達に話しかける神戸。しかし纏っている空気は一切笑えるものではない。
「その子からどいて早急にここから出てってくれませんか?」
「ひっ…!」
笑顔がスッと消え男達を射抜くかのような冷たい目に変わり声を低くして言うとすぐさま男達は俺から離れバタバタと倉庫から飛び出して行った。
「か、んべ…」
「……」
神戸は俺の元まで来ると無言でしゃがみ俺の方へ手を伸ばしてきた。思わずビクッとしてしまったが大丈夫だから、と言い俺を起こしてくれた。
「……」
「……」
上半身裸だし、下のハーフパンツは足元にあり下着は半分まで脱がされていると言うなんとも異常な格好だった。すぐさま下着を履きハーフパンツも元の位置に履き直そうとした時、肩からふわっと何かがかけられた。
「え……」
「いいから羽織れ」
「っ……」
神戸のジャージがかけられていた。神戸の匂いがした。その瞬間に訳も分からず目からボロボロと雫が零れて来た。自分では全くその気が無くてもどんどん溢れ出してくる。
「うっ…くっ…」
「……理央」
「ううっ…」
神戸に名前を呼ばれ更に涙が零れた。とめど無く流れてくるそれをどうすることもできなかった。その間にも神戸は優しい手つきで俺の頭を撫でてくれた。ただただ黙って、何も言わずに。
「理央、俺さ」
「…?」
少しだけ泣くのが落ち着いてきた頃、
「勝ったんだよね」
「!」
「だからさ、ご褒美もらうね?…キスしていい?」
「……」
神戸が俺の頬に手を添え目元の雫を拭うように親指を這わせながら俺に伝えてきた。勝った…言わなくても分かる、多分翔とのサッカーの話だろう。神戸があまりにも優しく、いつも俺に見せるような意地悪いものでは無く本当に優しい笑顔で俺に微笑むから思わず頷いた。
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