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心配性の彼が望むもの
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「…………」
「…………」
2人の間では暫く沈黙が続いた。
「…神戸、お前理央の事どう思ってんの?」
「……好きだよ?」
「じゃあ何で生徒会室行ったあいつは泣いてこんな雨の中1人で学校出ようとしたんだよ」
「……」
何も言えなかった。
「何してたんだよ」
「冬夜…笹原といた」
「生徒会室呼び出してたよな?」
「あぁ…」
井下に言われて改めて後悔の念に駆られる。井下が言っている事に間違いはないのだから。
「理央の為だった、理央の為に冬夜といた」
「理央があんなに泣いてんのにそれでもあいつの為なのかよ…」
「………」
「何でもできる完璧な生徒会長様が好きな奴泣かすんだ?」
嫌味を含むその発言に何も返せなかった。
俺は何してるんだ。理央にあんな顔させたかったわけじゃない。
「理央はお前の事好きだよ…お前分かってんだろ?」
「………」
「俺はあいつが最近、変わったなって思ってる。昔から一緒にいるから分かるんだよ。何にも興味を示さない割と冷めてる奴だったし。……多分お前が絡んでるんだろ」
「……最初は面白い奴、その程度だったんだよ。でもそれだけじゃ足りなくなってた。知らない間に」
「あいつそろそろ俺から卒業しないといけないと思ってる」
「?」
「頼ってくれるのも嬉しいし全然構わない。でもやっと俺以外に興味もったんだ。あいつの表面しか見てない奴は俺はあいつには必要ないと思ってる。お前は違うって思ってるから」
「………」
「だから、頼む…あいつ泣かせんなよ」
「悪かった…」
「……謝んのは俺じゃなくて、理央だろ?」
そう言うと井下は濡れたシャツの端を絞りながら校舎へ向かって行った。
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