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気まぐれ王子の被害者
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「理央…」
「………」
浩志に呼ばれる。
嫌だ。
何を言われんるだ。
何も聞きたくない。
シーツを思いっきりかぶる。
「理央!」
「っ…!」
浩志がベッドに近寄りシーツを剥がそうとしてくる。
「理央、聞いてくれ」
「いやだ、やだ!離せよ!!」
何を聞けばいいんだ?これ以上余計な傷を自分に負いたくなかった。
今思えばいつも逃げてるな…。俺。でも自分を守るので限界なんだ。
友人と呼べる友人なんて翔くらいしかいない。翔と一緒にいると楽だった。楽しかった。でも、浩志は…。
浩志は翔以外で初めて一緒にいたいって思えた。
それなのに…。ただ、俺が勝手に一方的な感情を抱いてるだけだった。
そんな俺に何を話したいのだろう。もう俺は話したくないよ…。
「理央、俺は…」
「や、だ……」
耳を塞ぎたい。何を言うんだよ、お前は……
「俺は、…お前が好きなんだよ…」
「……は…?」
真っ直ぐと俺を見る浩志のその目は真剣そのものだった。
「昨日…悪かった…少し意地悪するつもりで言ったんだ…でも理央は…傷付いたよな…。本当ごめん…」
「………」
「理央が俺の事…よく思ってるのなんとなく分かってた…それで…俺理央の気持ち考えてなかったわ」
「…………」
浩志が本当にごめんと俺の肩を掴み目線を合わせながら言ってくれた。浩志が俺を好き?その事は疑わずにはいられなかった…だって…
「…さ、笹原…は」
「あいつ、俺の事好きだって…」
「……うん」
「俺が理央に関わるのが嫌で…理央がどうなってもいいのかって言われた。冷静に考えられなかった…理央が傷つくのが俺は嫌だって。でも俺が理央を傷付けてたんだよな。ごめんな、ほんと…」
「浩志…」
理央が本当に申し訳なさそうに謝ってくる。俺の手をギュッと握りしめながら。
「井下に言われた、頼むよ…って」
「翔が…」
「俺さっき本当は井下とお前が抱き合ってるの見て、すげぇ嫌だった…」
「……」
そんな……それってさ、俺また自惚れちゃうじゃん。
「ごめんな、理央。本当に。許して…お願い」
「浩志………」
「ん…」
浩志の目はやっぱり真剣だった。俺はもう一回こいつを信じてもいいんだろうか。
いや、信じる。俺が信じたい…。
「理央、もう一個お願い…」
「うわっ?!」
いきなり抱きすくめられた。
「俺にお前を守らせて」
俺、やっぱり信じるよ。
だって、俺、お前が好きだからさ。
「おう……」
力強く俺を抱きしめてくる浩志。その腕が暖かくて…。
「理央…好きだよ、大好き」
「俺も………好き」
なんだよ。
また視界が霞んできた。
浩志の顔見たいのに。
濡れた制服の袖で涙を拭った。
俺本当に好きなんだな…浩志の事。気まぐれで理不尽で頭良くてカッコ良くて…優しい神戸浩志がさ。
外は雨が上がり、雲の隙間から太陽が覗いていた。
Fin...
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