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飲んでる奴には飲まれない
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井下と白木に理央を押し付けられたはいいが…。
「こーしー…えへへ」
なんだこれは。
「ん、浩志の匂い…する…」
ぎゅっと俺を前から抱きしめ胸元に顔を埋めている理央。普段俺からちょっかいだしてもすっげぇ悪態つくくせに。今の理央は恐ろしい程俺に甘えてくる。
「お前…何、なんで酔ってんの?」
「酔っれない!」
「酔ってんだろ…呂律回ってねぇよ」
口調おかしいし、口は回ってないし、目は虚ろだし、顔は赤いし、足元はふらっふらだし……。
「………ま、えだ、が…」
「前田?前田高明?」
「んー、そぉー!なんかねー、ビール飲んだー」
あいつ…。研修旅行だぞ。つーか、井下もいながら何してんだよ…。
はぁ、と溜息をつきながら背中に回る理央の腕をはがし部屋の広い所まで連れて行く。
「水用意してやるから、ちょっと座ってろ」
「はーい!」
胡座をかきながら手を上げる理央。部屋に備え付けの冷蔵庫からミネラルウォーターを出してコップに注いでやる。
「ほら、ゆっくりでいいから飲んで」
「ん…」
コップを渡せばごくりと一口飲んだ。
「浩志も、飲むー?」
「俺はいいよ、ありがと」
「えー、飲めよー」
俺が断ると頬を膨らませる。か、可愛いとか思ってねぇからな?!
「らめー、飲めー」
「は?ちょ、おい!理央!…んぅ」
「ふ、…ん…」
すると急にコップの中の水を口に含むと俺の頭を掴み口付けをしてきた。驚いた俺は咄嗟に口を開いてしまいそのまま水が注ぎ込まれる。わずかに口に渡り切らなかった水が俺と理央の口の端から伝う。
「ん、ぷはぁ……っ、おい…」
「ん、浩志…んぅ…」
口が離れた後、そのまま押し倒され理央が俺の上に覆いかぶさるようにキスをしてきた。いつもは俺からするその行為を理央からしてきた事に動揺が隠せない。
「んぅ…」
唇を割って入ってきた舌に俺も応えるように絡ませると理央の口からはくぐもった甘い声が漏れる。わずかに感じるアルコールの味と舌の熱と理央の首から香る匂いに翻弄された。
「ん、ふ…浩志…」
「…ん、……すげぇなお前…」
口をゆっくりと離すと繋がるのは細い銀の糸。理央の顔は頬が紅く染め上がり目は蕩け切っていて息も絶え絶えだった。身体の奥がグッと熱くなるのを感じる。
「浩志ぃ……ん、好き……」
「うおっ」
がばりと再び覆いかぶさられ首元に顔を埋められる。理央の柔らかい髪の毛が顔を撫でてくすぐったい。自分から中々好きとはあまり言う方でもない理央の口から出た言葉に戸惑う。それもこれも酔ってるからなんだろう。
そして、ふと思う。
こいつ酔ってんだよな、そう言えば。
よーく、よーく考えて。今この状況を耐えるのは生殺しに近いわけで。かと言ってこのままやるわけにもいかないし。と、なった時にこいつをどうするかって話で。
(俺このまま理央をここに置いといて耐えれる自信がない)
酔った奴とそのままやる、って事程後悔する事はないだろうし、第一こいつが絶対覚えてない。それは俺が嫌。
「はぁ……無理。返すか」
「ん?」
「理央、降りて」
「……いや…」
「可愛いな、じゃなくて、お願い理央」
ポンポンと頭を優しく叩くと、渋々といった様子でどいてくれた。
「お迎えきてもらうか」
「?」
名簿を見て理央の部屋の内線に電話をかけた。
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