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過去3___陰口
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今日も授業に出る気がなくて校舎の裏に向かっていた。隆と祐は担任に呼ばれてるらしく今は俺1人だった。
校舎裏の手前にある倉庫辺りにに差し掛かった所で何人かの声が聞こえた。
「つーかさー、優木やばくね?アイツ」
「翔太達もボコボコにされてたぜ?」
「本当あいつだけは関わりたくねぇわ」
2、3人で話しているようで内容は俺の事だった。今足を進めて出て言ってもいいが思わずその場で立ち止まってしまった。
「やべぇよな……誰構わず殴ってるんだって」
「怖ぇよなー」
「あいつなんか親が死んでそれでぐれたらしいじゃん」
「まじで?本当にそんな奴いんだな」
「てかあれじゃん?体売ってるって本当?」
「はぁ?!何それ」
「優木さ顔はいいからそういう事して金取ってるらしいよ」
「うっわ…ねぇわ~」
聞いていればすんげぇくだらない事だった。くだらなすぎて逆に笑えてくるくらいだった。しかしそいつらはそんな俺をどきりとさせる事を言い始めた。
「てかさ、あれだって。優木って井下の幼馴染らしいよー」
「井下って、井下翔?」
「そーそー!バスケ部の」
「うわー、井下可哀想~。運動も出来て勉強も出来んのに幼馴染がアレなわけ?」
「すげぇイメージダウンよな」
「幼馴染が、アレとか……」
足が動かなかった。今すぐこいつらの目の前に出て言って1人ずつぶん殴ってもよかった。でも出来なかった。惨めだった。そんな事で動揺してる自分が情けなかった。つーかお前らが言わなくてもそんなの俺が1番分かってる。
グッと拳を握りそいつらの所に行こうとした。
そんな時だった。
「ぐぁっ!」
「っ…て、てめぇ何すんだよ!!」
鈍い音と呻き声が聞こえた。ハッとして壁の影から向こうを見るとそこにいたのは、
「人の陰口言う暇あんなら授業出ろよー。ちなみに俺は早退だけど」
「こ、こいつ…桐島琳だ…やべぇよ!行こうぜ!」
バタバタと走って行く男たちの後ろ姿を笑いながら見送るそいつは、間違いなく桐島琳だった。
「優木くーん、そこにいんだろ?」
サッと顔を隠したものの桐島に名前を呼ばれ、遅かったと気付く。
仕方なしにずるずると出て行けば、よー、なんて軽いノリで話しかけられた。
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