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俺のモノですから!
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「し、東雲!東雲!」
「ちょっとお!危ないってえ!」
こんな悲鳴みたいな久我の声なんて聞いた事が無い。
「今すぐここ開けろ!」
俺は何度もドアを蹴った。
「怖いんだけどお!ちょっと、久我ちゃんダメ!」
「痛っ!や、東雲!東雲!やだ!」
「てめえ、久我に触るんじゃねえよ!」
蝶番が壊れてドアが外れるまで蹴り続けて、隙間に腕を突っ込んで手前にいたヤツを力任せに引きずり出す。
そいつが俺の胸に飛び込んでくる。
ワイシャツを脱がされた久我が、俺にしがみついて震えていた。
「………っ!」
俺は久我を後ろに下がらせて町田の腕を掴んだ。
「ふざけんなこの野郎!」
「東雲、やめろ!」
ぶん殴ってやろうとした時、ぐるりと視界が回って、俺はうつ伏せに床に倒れていた。
起き上がろうとして、久我が俺の右手を捻じり上げてがっちり抑えているのに気づいた。
「離せ!」
「ダメだ!お前は手ぇ出すな!」
「何でだよ!」
俺は思い切り暴れたが、腕の関節に痛みが走るだけで久我から逃げられなかった。
「レギュラー狙ってんだろ!絶対にダメだ!」
「そんなんどうでもいい!」
「動くな!肩外れるぞ!」
町田が久我に押さえられてる俺を見て指を指す。
「あーっ!久我ちゃんに怒られてるうー!」
「久我、今すぐ離せ!」
「絶対にダメだ!」
「えー、何々ー?もしかして俺の為ー?俺、久我ちゃんに愛されちゃってるー?」
「久我!」
「ダメだ!」
ひょいと町田が俺の顔を覗き込む。
「あー!久我ちゃんと同じ部屋の人じゃーん!」
至近距離に来た町田を捕まえようと左手を伸ばすが、久我に右手を思い切り捩じられた。
「痛って!」
「俺がこいつ押さえてるうちにさっさと行け!」
「え!久我ちゃん、俺の事守ってくれてんの?マジ感激!」
目の前で町田がクルクル回って踊っている。
「いいから早く行け!」
「分かった!ありがと!超愛してるうー!」
足取り軽く走り去っていった。
相変わらず久我は俺の右手を押さえたままだ。
「久我、もう暴れねえよ」
メチャメチャ腹は立ってるけどな!
こんなにムカついた事って初めてだ!
「東雲、頼むからあいつに手ぇ出さないでくれ」
「無理」
「お前はダメだ」
「無理‼」
「お前はスポーツ特待生なんだから、事件起こすような真似は絶対にダメだ」
「お前を守る為なら退学になっても構わねえよ」
「………俺の為なら、側にいてくれ」
泣き出しそうな、弱い声音。
「退学になって、いなくなるような事は………しないでくれ」
「………クッソ!」
俺の腕を押さえている久我の手が震えている。
「絶対暴れないとは約束出来ねえけど、なるべく抑えるから、離してくれ」
悔しかった。
前回の入院になった時よりも、何倍も悔しかった。
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