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長引く会議の席に、じりじりしながら座ってると、おもむろに肉汁のニオイがして、人数分の牛丼が配られ始めた。
午後8時。
「腹減っただろう、ちょっと休憩入れよう」
専務のひと声を合図に、ドッとみんなが声を漏らす。
これで多分、あと2時間は、帰れない。
「主任、お疲れ様です」
後輩がそう言って、オレの前にペットのお茶を置いてくれた。
「今日は長引きそうですね~」
のんびりした声でそう言いながら、スマホの画面をタップする彼は、メールかラインでも始めるんだろう。
よく見れば他の参加者も、それぞれケータイ片手に家族と連絡取ってるみたいだ。
「あー、もしもし、オレ。今日遅くなりそうだ……」
そんな声があちこちに聞こえる。
こんな休憩なんかいらないから、早く帰らせてくれればいいのに。
お腹はすいてたけど、とても食べるような気分じゃなくて、配られた牛丼のプラ容器を睨む。
と、スマホ片手に割り箸を出しながら、後輩が言った。
「ああ、主任、猫のこと気にされてるんですね? ペットいると大変ですねぇ」
猫、と言われて、「う、ん」と曖昧にうなずく。そういえば彼には、そういうこと言ったような気がする。
実際には、猫なんて飼ってなかったけど。
「猫には電話できないし、残業だって言っても通じませんしねぇ」
「そう、だね」
猫じゃなくても、確かに電話はできなかった。
後輩の言葉にどよんとしてると、横から課長が口を挟んできた。
「なんだ大橋君、ペットのエサでも気にしてんのか? 犬猫なんか、1食くらい抜いたって大丈夫だろう」
「そう……です、ね」
肩をぽんと叩かれて、なんとか返事はしたけど、あんま上手に笑えなかった。
犬や猫なら、オレの帰りをじっと待っててくれるかも知れない。
でも、オレが飼ってるのは犬でも猫でもなくて、ヒモで――人間の少年、だった。
じりじりしながら時計を見ても、会議はなかなか再開しない。8時10分。
いつもなら、とうに帰ってる時間だけど。帰りが遅くなってるってこと、そろそろアツヤ君は気付くかな?
気付いた後、ご飯、自分で用意するかな?
昼食代に、って渡してるのは、1週間に5千円。「足りない」って言われたことはないけど、それで晩御飯食べるくらいは、ちゃんと余ってるんだろうか?
夕飯を自分で作ることはできなくても、買いに行くことくらいはできるだろう。高校生だし、頭良さそうだし。
でも、何ていうか――気になって。会議の間も、落ち着かなかった。
ずっと以前、こんな風に、帰りが遅くなった夜のコト、思い出す。
連絡したくても、彼のケータイ番号を知らなくて。というか、持ってるかどうかも知らなくて。うちには固定電話もないから、結局連絡できないまま、今日みたいにじりじりと過ごした。
連絡できないのは今も同じだけど、初めての時は相当心配させたと思う。
まだ出会って数日の頃だし。
心配してるんじゃないか、とか、それとも出てっちゃったんじゃないか、とか、色んなことを考えた。
駅から必死に走って帰って、アパートの窓に明かりが見えた時は、ホントに心からホッとした。
ダッと階段を駆け上がり、勢いよく戸を開けて、大声で謝った。
「ゴメン、アツヤ君。仕事で遅くなっちゃって。ご飯……」
ご飯、今作るから……と、言おうとしたけど、言えなかった。
「大橋さん!」
そう言って、アツヤ君にぎゅっと抱き締められて。「よかった」って言われて。
何が何だか分かんない内に、キスされて、舌をねじ込まれた。
何が「よかった」なのかよく分かんなかったけど、とにかく心配させたのは確実っぽかったから、キスの後、もっかい謝った。
「ゴメン、心配させたよね?」
アツヤ君はそれには答えなかったけど、ぎゅうぎゅうにオレを抱き締めたまま、しばらく放してくれなかった。
彼にどんな事情があるのか、オレは知らないままだけど。
でも何か、こんな風に、帰らない誰かを待ち続けたことがあるんじゃないか、と、その時に思った。
初めてアツヤ君に抱かれたのは、その日の夜のことだった。
抱かれたって言うか、襲われたって言うか……抵抗できなかったオレも悪いから、被害者ぶるつもりはないんだけど。
とにかく、その夜。いつものように寝る前、強引にフェラ、された後。
「大橋さん……」
アツヤ君は熱のこもったような声で、オレを呼びつつ、自分のモノを取り出した。
そんなことは初めてだったから、ビックリした。
驚いたのはそれだけじゃない。初めて見るアツヤ君の勃起した陰茎は、もう大人と言ってもいいくらい大きくて、若々しく濡れて天を突いてた。
はあ、と熱い息を吐きながら、オレをじっと見たまま自慰を始めたアツヤ君。
居たたまれなくて見てらんなくなって、目を逸らした途端――いきなり襲いかかられた。
「うわっ」
ベッドに押し倒されて悲鳴を上げると、文句を言う間もなく唇をふさがれた。
肉厚の舌がねじ込まれ、オレの舌をべろっと舐めて。次に、首筋を舐められた。
「大橋さん」
熱っぽく呼ばれると、今でもドキッとしてしまう。
オレ、多分あの声に弱い。
その時も、熱っぽく呼ばれて。性急にシャツをめくられ、肌を撫で回され、そそり立ったモノをぐいっと押し付けられた。
「あ、つや君、あのっ……」
慌てて声をかけたの、覚えてる。
オレ、いっぱいいっぱいで。
口でてあげようか、とか、手でしてあげようか、とか、素股は、とか……色んな言葉がぐるぐる回って、結局何も言えないでいる内に、アツヤ君に先に言われた。
「絶対痛くしねーっスから」
何のこと言われてるのか、意味が分かんなくて――。
返事もできないでいるうちに、ヒザを割られた。
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