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ナオ④
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「で、何しにきたんだよ?」
これ以上余計な事を言われては堪らないと、俺は都雪くんを気にしながら、あからまに面倒臭いと言う空気を出した。
ナオがムッとした顔で身を乗り出す。
「バカ!お前がこんな田舎に引きこもってるつー噂だから、連れ出しに来てやったんだよ!」
「は?引きこもってなんか……」
「いやいや、よっちも澤田もシマブも断られたとか言ってたぞ!」
「…別に、こんなクソ暑いのに、わざわざ混んでる場所に行きたくないだけだよ」
「はあぁ!?お前、合コンまで断ったそうじゃねーか!?」
「なっ、べ、別に…」
思わず口ごもり、都雪くんを窺えば、案の定バツの悪そうな表情を浮かべていた。
なんとか取り繕わなくてはと焦るうちに、またナオが余計な事を口走る。
「なんか、親戚の面倒みなきゃとか言ってるらしいけど、面倒みなきゃいけないほどガキじゃないじゃん」
俺が一番言って欲しくなかった事を——
「ナオ!」
つい強い口調で制したにも関わらず、ナオは畳を擦って都雪くんへと近付いた。
警戒する様に顎を引く都雪くんの顔を覗き込み、ニコリと笑う。
「えっと…都雪くんだっけ?俺、ナオナリ。よろしくな」
「は…はい…」
「なあなあ、都雪くんも一緒に遊ぼうぜ!」
「はっ!?」
と、声を上げたのは都雪くんではなく俺だった。
まさかこいつ、都雪くんまで合コンに引っ張り出す気じゃないだろうな…と一気に不安になる。
自分に彼女が出来てからと言うもの、何かにつけてナオは俺に女を紹介したがった。
多分、自分だけ彼女持ちと言うのが後ろめたいのだろう。
だからと言って、余計なお世話である。
そんな気持ちが顔に出ていたのか、恐らく訝しげな視線を送っていただろう俺を見て、ナオがぷっと吹き出した。
「いやいや、変な所に連れてこうって気はないから—」
「当たり前だ。それ以前に、俺は何処にも行く気はない」
「なんでだよ?いいじゃんか、俺とみーちゃんと都雪くんと一緒に遊びに行こうぜ?」
「は?なんで、お前らに俺らがくっ付いて行かなきゃならないんだよ?」
「いや、俺とみーちゃんプラス男ばっかりつーのもみーちゃんが可哀想だし、プラスお前だけつーのもお前が哀れだし、本当はお前に彼女が出来ればなぁと思ってたんだけどさ…」
なんだ、それで俺に女を紹介したがっていたのか…
でも、だからって——
「なんで都雪くんなんだよ…」
「いやぁ、都雪くんなら丁度いいじゃん」
ナオは豪快に笑ったが、何が丁度いいのか全くわからん。
だが、これ以上突っ込んでも無駄だろう。
俺は、諦めて都雪くんに視線を移せば、窺いを立てる様な視線が返ってきた。
それが、一緒に行きたいと言う意味なのか、ナオをなんとかして欲しいと言う意味なのかはわからない。
こんなことならば、都雪くんを無理に同席させるべきではなかった。
「で?何処に行くつもりなんだよ…」
都雪くんを誘ってくれているのに、ここで無下に断るのは妙だ。
折り合いをみて断ろうと話しを促したが、ナオは急に歯切れ悪くなった。
「んー?あんま、考えてないけどキャンプとかなんとか、泊りでさー…」
具体的な提案はないものの、泊りと言う事が確定な時点で下心丸見えだ。
「ああ?お前のエロの為に、俺らを出汁に使うな!!」
「な、違ぇし!!俺たち、結婚するまでエッチしないから!プラトニックラブだから!!」
「信じられるか!バカ!!」
童貞でもないくせに—!と続けそうになったのを、慌てて飲み込む。
家族団欒の時に、急にテレビからラブシーンが流れ始めたのに焦る親父って、こんな気分なんだろうか…
咄嗟に都雪くんを見ると、あまり気にした様子もなく、きょとんと首を傾げていた。
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