アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
5
-
「あ! 葵、おっはよー!」
「はよ」
七夕イベントが終わって翌日の夜。
バックヤードで支度してたらカイがやって来た。
「暗いなー。昨日ちはるさん大変だったみたいだね」
「そうなんスよ! あの新人が水零してカンカンだったんスからっ」
何故か隣でゲームしていた和希が質問に答える。
まぁ、説明すんの面倒かったから助かったけど。
「大丈夫だったの? ちはるさん」
「あー、デートすることになったけどな」
「うわっ、マジで! あの人金出してくれるけどココ以外では関わりたくないなー、俺」
「それ、俺も同感ッス!」
なんて話す二人に、俺は着替え終わって髪をセットする為に台へと向かった。
「おはよ。葵」
「……颯斗」
隣の椅子に座って同じく髪をセットする颯斗。ここでは一番落ち着いてる奴だから話しやすい。よく後輩の相談事も聞いてるし。
「教育係なんて笑えるな」
時たまイラッとする事を言うけどね。
まぁ、でも……、
「来ねーだろ。アイツ」
昨日の今日だし。来んなって言ったしな。
「どんだけ厳しくしたんだよ。初日で初だったんだろ? ホストの仕事」
「あんなガキ合わねーよ。それに気付いただろ」
髪にワックスを付けながら、鏡越しに颯斗を見る。
「そうか? 俺には、」
「あ! 真緒、おはよーっ」
「おはようございます」
「!!」
はっ!?
カイの声にドアの方を見たらアイツが立っていた。昨日と同様の無表情で。
「来たじゃん。教育係」
(くっ……)
笑って俺の方を見る颯斗にまたイラッとしたけど、それよりも俺は真緒の腕を掴んで外に連れ出した。
「なんで来たわけ?」
店の外に出て、振り返って見下ろす。と言うよりかは睨みつけた。
「俺、辞めるとは言ってないです」
「はぁ? 来んなって言っただろ。てか、あんな屈辱的な事されて良く来れたね。お前」
クッソ、マジでムカつく! 無駄に冷静な所とか表情変えないのが余計に。
「俺は屈辱的だなんて、思ってません」
(何コイツ、Mなの!?)
にしたって、よく平然としてられる。
「それに、葵さんから教わりたいんです」
俺から?
最後は俯きながら、聞こえるか聞こえないか位の声で言った。
「どー言う、」
「どうした? お前ら」
「高山さん!」
そんな時、店の前に止まった赤のフェラーリから高山さんが降りてきた。相変わらず派手な事で。
「真緒、葵に苛められてたか?」
はぁ!?
「あ、いえ……」
笑いながらガシガシとコイツの銀髪を撫でる。
「昨日大変だったみたいだな。二人とも」
二人って! 俺が、だろ!
「ホントですよ。コイツ、ホスト向いてな「今日もしっかり教えてもらうんだぞ、真緒」」
なっ。
俺の言葉を遮ってコイツの肩を叩く高山さんに、このガキは頷きやがった。
「それじゃ、先に行く。お前らも開店の準備しろよ」
「ちょ、高山さん!」
そう言って、店内の中へと入って行った。
俺とコイツの間に沈黙が走る。
「あの、葵さん」
「……なんだよ」
その空気を破ったのはコイツの方で、俺は仕方なく返事を返す。
「今日もよろしくお願いします」
「…………あぁ……」
頭を下げる銀髪に、俺は溜め息を吐くように言葉にしていた。
彦星と織姫とは違って一日だけではなさそうな出会いに、俺はもう一度息を吐いた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
6 / 196