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ある日の放課後
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右も左も見渡す限りの草・木・花。後は山、前は一本のみの細い道。地面も当然のようにコンクリートではない。
停留所にある錆びたベンチの前を通り過ぎ、侑はその命綱のような道に躊躇なく入っていく。途端に薄暗くなるのは、立派な柳の木が連なって年中無休の傘の役割を果たしているからだ。
斑の光模様のそこを暫く行くと、少し拓けた場所がある。
その赤茶けた土を踏んだ瞬間、侑はギョッとした。誰かが道のド真ん中に俯せで倒れているのだ。
「お、おいっ!大丈夫か!?」
かなりビビって侑は駆け寄る。
すると「あ、侑兄さんだ」と聞き慣れた声が返ってきて、ゆっくり上げた幼い笑顔もやはり見慣れたものだった。
子供ながら息を呑むほど恐ろしく綺麗な顔立ちをしている。しかし肌や髪の色素が薄くその上線が細いので、風に簡単に吹っ飛ばされそうなほど頼りなげだ。
彼の名は境木 カイ。森ヶ丘小学校の6年生。
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