アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
友達
-
――まずい…、まずい
侑は焦る。何故もっと気を配らなかったのだろう。小学生のカイでさえ察したのに。
侑はカラカラの喉から声を絞り出した。
「かっ…母さんと、喧嘩してて…」
「嘘は上手に言わなきゃ意味ないよ。さっき普通に電話で話してたよね?」
「っ…」
侑は何も言えなくなる。口を動かそうとしても出るのは息だけだ。
そうだ、言えないのだ。『男に強姦された上にストーカーされてます』なんて。友達だから、余計に無理だ。
――強姦されて、ストーカーなんて…
言葉にして繰り返すと、改めて頬を打たれたようなショックを受けた。
心に亀裂が入っていく。抑え込んでいたものがそこから表に出てきそうになる。
――やだよ…。やめてよ、壬生ちゃん…
訊かないで。突き付けないで。
どこか他人事でいたいんだ。偽りでも平和でいたいんだ。友達とは楽しくバカやってたいんだ。いつもの自分でいたいんだ。
こんな理不尽と真正面から向き合いたくない。何も悪くないのに怯えて、泣いて、隠れて。そんなの、俺じゃない。
お願い。言わせないで。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
71 / 474