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透子
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『他の男の家に泊まるなんて貴方は本当に悪い子ですね。今回は許してあげますが次は無いと思って下さい』
「何様だよ…」
侑は手書きでない紙面に溜め息を落とす。
ストーカーからの二度目の手紙だった。
実はこれ自体は、壬生の家に泊まった翌日には届いていた。侑が自らポストから発見し、見覚えのある嫌な予感バリバリな茶封筒に勇気が出ず開けられないでいた。
それから一週間ほど経った今日になって開けた理由は。
――俺は意外と女の人に甘えたなのかも…
男としては感心されないかもしれない。
だが侑は弱っていた。本人が自覚しているよりもずっと。
時計を確認すると立ち上がり、制服に着替える。日曜日の本日、本来なら必要のない服だが他に相応しいものもない。
誰もいない一階に下り靴を履き替え、外に出ると小雨が降っていた。梅雨入りをしたこの季節、傘は必須である。ポンと軽快な音をさせ傘を開き侑は濡れた地面を歩き始めた。
目的地は村の端にあるため少し遠いけれど少年は無心で足を運ぶ。
行き先は、墓地だ。
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