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懐疑
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手が妙な反応をする前に強く蛇口を捻り水を止め、タオルで拭くふりをして表情を隠す。
そうした一連の行動を終えた侑が改めて顔を向けると、祥が傍らに立っていた。隣の蛇口で水を飲んでいる。
「ふは~!一汗かいた後の水は旨いな!なぁ侑、お前もそう思うだろ?」
やばい凄い癒される。「お前、相変わらず避けんのだけは上手いから捕まえるの大変だったぞ」と変わらぬ豪快な笑い方をする祥に、心底。
「また酷いこと言う」とむくれ、いつもの自分を侑は演じる。
――ねえ、祥さん。この狭い村に余所の奴が一ヶ月以上潜むなんてさ。無理だよね
侑は表情を作りながら、親しい青年に心中で語りかける。
――いくら空きの納屋があるからって、無理だよね。見ない顔がフラフラしてたら、流石に誰か気付くよね。ご飯の問題もあるしさ
「酷くない、誉めてる!侑の逃げっぷりは素晴らしいぞ!」
「え…ここお礼言うとこ?」
――畑も荒らされてないし、どこかに空き巣が入ったとかも聞かないし。そもそも切手とか封筒とか手紙の印字とかどうしたのって話だよね。パソコンないと無理だよね
「おう、お礼言ってくれていいぞ!」
侑は静かに微笑む。
――ねえ、祥さん
俺を犯したストーカーは、俺の好きな村の誰かみたいだよ。
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