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懐疑
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きっと真っ先に、それを疑うべきだった。
そうすれば無理に色んな事をこじつけなかった。そう考えるのが、一番自然だった。
だけど、好きだから。
のらりくらりと、答から目を背けていた。
「はーいどうもありがとうございます~」
「どういたしましてだ!」
――祥さん。祥さんが『違う』のは分かってるよ。俺が祭の夜に神社を出た時、祥さんは大会に出場してたもんね。総合優勝する為には、俺をレイプしてる暇ないもんね
自棄気味な自分を殴りたい。こんな事を思うなんて吐き気がする。いつから俺、こんなに嫌な奴になったんだ。
「俺、風呂入りたいからそろそろ帰るね」と頭を冷やすためにも足早にその場を去ろうとする。
「侑」
しかし、後方から祥の声が追ってきた。この距離では聞こえなかったフリは出来ず、振り返るしかない。
「もっと大人を頼れよ」
侑は瞠目する。
道場から漏れた明かりに照らされた祥の表情は、鮮明には見えない。
力強くて、優しい言葉。
中学生の瞳が揺らぎ、しかし瞬きを一つすると何の感情も窺えなくなる。
――うん
うん、そうだね。
「…ありがとう」
侑はここだけは嘘偽りなく感謝する。
人間、心配される内が花だ。少年は身を持って知っている。
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