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ケイシ×栄一7(完)
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「はあ……はあ…はあ…っぁ」
「はぁ…ね……栄一さん、キス…していい?」
私の中で果てた彼は肩を軽く上下させ、その整い過ぎている顔で微笑んだ。
きゅううっと胸が締め付けられた。テレビの画面に映っているときとは違う、彼の本当の姿、表情、仕草、全てにひどく見惚れてしまう。
手錠によって赤く腫れた私の手首を優しく撫でると、まるで宝物を扱うように、決して傷つけないように、カシャリとその拘束を外した。
そしてそのまま唇を寄せ、赤くなった箇所に申し訳なさそうにキスを落とす。
純粋で素直で無邪気な性格、常に私のことを考えてくれるその愛情。
もう限界だった。
「栄一さん…俺、栄一さんにキスしちゃ…ダメ……?栄一さんにいいよって言ってもらえるまで、ずっと待ってるから…今だけでも、キスしてい…んぅ?」
しゅんと項垂れる彼に手を伸ばし、ふわふわな猫っ毛の後ろ髪を押さえた。
そして、ほんのわずかな時間、彼の唇と私の唇が重なった。
どアップのケイシさんの顔には驚きが表れており、大きく目を見開いたまま、魔法にかかったように動かなかった。
「…いいですか?『若狭ケイシ、熱愛発覚!そのお相手はなんと!眉間にシワが寄ったいかにも神経質そうなおっさん(30代後半くらい)であった!!』…みたいな記事を新聞の一面トップにしないで下さい…ね」
アイマイミーマインみたいに呆然とする彼を見ていると、いい年になってあんな軽いキスをする自分が無性に恥ずかしくなってしまい語尾が小さくなった。
「え、栄一さん……?」
「…なんですか?」
「俺…諦めなくて良いの……?」
目にうっすらと涙を溜めた彼は蚊の鳴くような声で尋ねた。
「当たり前です。二度も私にあんなことをしておいて、今更遊びでした、じゃ済みません。もし貴方がそんなつもりなら、テメェコラぶっ飛ばすぞオ”ラァ」
「も、ももちろん本気っす!!俺本当に栄一さん大好きだから。愛してる。ずっと一緒にいたい。”監禁してあのマゾ男とかその他諸々の人々…というか世界中の人々から栄一さんを守ってとにかく俺だけのものにしたい他の人の目になんて入れさせないだって栄一さんに惚れちゃうからそしたら誰がいつ栄一さんを俺から奪うかわからないしつっても奪わせないけどまあ念のために俺の監視下に置いておきたい”と思ってる」
「すみませんちょっと怖いです。けど…まあ、これからもまた、マネージャーとして、パ、パートナーとして…その、よろしくお願いしますね」
らしくもなく動揺してしまいながらも、彼に想いを伝えた。
今をときめく人気アイドル、若狭ケイシ。
それは、子供でアホで強引でどうしようもない、私の大切な恋人である。
*
「そういや栄一さんって元ヤンなの?あと、栄一さんは『眉間にシワが寄ったいかにも神経質そうなおっさん(30代後半)』なんかに見えないからね?」
「私の昔なんてどうでもいいでしょう。私はあなたより10も年上の男ですし、そう見えても仕方ありません。まあ歳は29ですけど」
「え、栄一さんの昔とかすごく気になる。ていうか、栄一さんは自分で思っていないだけで、本当に才色兼備?なんだよ!だから俺はもう不安で不安で…」
「…本来”才色兼備”は女性に使う言葉ですか…お世辞でも嬉しいです。阿離我妬(訳:ありがとう)」
「う、うん…」
(やっぱ栄一さんって元ヤンなんじゃ…)
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