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おじさん受け2
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丁度12時を回ったときだった。
午前中の仕事が終わり、それぞれが昼休憩に入る和やかな時間。
俺はいつものようにコンビニで買った弁当を同僚の赤津と食べていた。
「なあ宮藤(くどう)…柳本さんの話知ってるか?」
サンドウィッチを頬張っていた手を止め赤津は俺に尋ねた。
赤津の口から柳本さんの名が挙がるとは全くもって思っていなかった俺は驚き、ぴしゃりと固まった。
深刻そうに眉根を寄せた赤津の表情からは、それがあまりいい話だとは見受けられない。
「柳本さんがどうかしたのか?」
あくまで冷静な姿を取り繕い、それとなく話題に入り込む。
だが、次に耳に入った言葉に俺は驚愕することになった。
「実は……柳本さん…枕、するんだってよ」
「…は……?」
ーー枕。
つまり仕事を有効に進めるために性行為を用いる、所謂枕営業のことである。
何かの聞き間違いかと思ったが、赤津は言葉を続ける。
「俺も詳しくは知らないんだけど、柳本さんと同期の人がそう言ってたんだ…」
「……いつ?相手は?」
「それが…結構近い日らしいんだ。相手はA社の斎藤とかいう男。話によると今やってるプロジェクトの責任者なんだとよ。ほら、柳本さんあそこの会社によく営業行ってたろ?それで気に入られたとかなんとか…」
冗談じゃない。
プロジェクトの責任者?
柳本さんは会社のためにそんなやつと寝るのか?
得体の知れない、しかも男に?
いや、くそお人好しな柳本さんには、あり得ない話ではない。
あの人は自分のことを道具か何かとしか思っていないようで、いくらでも犠牲にできるような人だ。
それに今やってるプロジェクトへの営業が成功したら、俺らの会社にとってとても有利になることだろう。だからこそ、彼はもちろんふたつ返事でYesと答えるはずだ。
たとえそれが、己の本心でないとしても。
「確かに柳本さんってなんつーかエロいもんな…気に入られるのも分かる。つっても、いつもあんなに優しくていい人が会社の為に身体を売るなんて…心苦しいよな」
心苦しいなんてもんじゃない。
柳本さんが誰かの手に渡るなんて、そんなこと、俺は絶対に許さない。
「まああくまで噂だから真相は分かんないだけど…って、うわ、もうこんな時間?」
自分の腕時計をチラリと見た赤津は、それが示す時間に慌てて席を立ち、先に行くな、とせかせかと駆けて行った。
気づけば昼休憩もそろそろ終わりの時間だ。
『……柳本さん…枕、するんだってよ』
赤津の言葉が頭から離れなかった。
心臓がどくんどくんと勢いよく鳴り響き、俺の心にはちりちりと胸が焦げるような真っ黒い感情が渦巻いていた。
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