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前世の記憶
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「はあ〜今日もお疲れ、私っ!」
勤務を終え、馴染みの店に寄る。
一般的なOLである私の唯一の憩いの時間だ。
「……あ、新刊出てるっ」
私の趣味。
それは漫画。
普通の漫画はもちろんのこと、男の子同士の恋愛ものが大好物。
つまり腐女子というやつだね。
「ふふふ、大量大量♪」
早速読んでしまいところだが…惜しみつつ今しがた買ったばかりの漫画を鞄にしまい、店を出る。
私は辺りを見回した。…よし、誰もいないな。
わざわざ地元より二駅も離れた店に来てるんだ。ここで同僚や知り合いにバレるわけにはいかない。オタク趣味は私の秘密。
さあ、後は家に帰るだけ。
早く帰ってカバーつけなきゃ。
その時私はお気に入りのタイトルの新刊が出ていたこともあり、かなり上機嫌だった。
だから……少し注意散漫になっていたのかもしれない。
キキーーーーッ!!!
ドンッ!!
……至近距離で大きな音が突然したかと思えば、私の視線は空へ向いていた。
大きな衝撃が体に走る。
ドサッと大きな音を立てて私の体は地面に打ちつけられた。
「か……っは」
息がうまくできない。
大量の赤い血が狭くなった視界に映る。
痛みは麻痺しているのか感じなかった。
……あ。これやばいんじゃない?
ぼんやりとする意識でそう思う。
間近に迫る死を認識した途端、私の中で色々な思いが交差した。
どうしよう……明日は大事な打ち合わせがあったのに……。
美奈子に漫画、返しとけばよかった……。
お父さんとお母さんなんて思うだろ……。
……新作の漫画……読みたかったなあ…。
私の人生、こんなとこで終わるのかな…。
あっけないもんだな……
……もし、もし次があるのであれば……
カミサマお願いします……次は男に生まれて男の子と恋をさせてください……、なんて、ね……
最後まで私は私であることに苦笑いをする思いをしつつ離れていく意識を放棄した。
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