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少し温めに入れた湯船の中、ぼんやりそう思考を巡らせながらつかっていると、ふいにガラガラと脱衣所と風呂場を遮る扉が開かれ秋都が遠慮げにひょっこり顔を覗かせた。
「僕も入っていい?」
そう尋ねられた言葉に手を軽く振ることで答えると、二人でも十分広い浴槽の中を横にずれる。
「一緒に入るなんて小学生以来だよね」
秋都は軽く身体を流すと、俺の隣に座りながらそう笑った。
「海都ったら一人でこの広いお風呂に入りたくないって泣いちゃって、毎日一緒に入ってたんだよね」
「あれはお前が悪い」
「え、なんで? 嫌がらず一緒に入ってた優しいお兄ちゃんにそんな事いうの?」
「お前が風呂で怖い話なんかしなけりゃ一人で入れてたよ、今みたいにな」
子供の時はいつも鈴兄貴と秋都と3人で風呂に入ってたんだ。毎回泡だらけの髪で色んな形を作って笑わせてくれる鈴兄貴とは違って、どこで仕入れてきたのか突然怪談を話し始める秋都。
なまじ視える君だった俺は、ここには何もいない何もいないと自分に言い聞かせつつも、脳内を巡るイメージが怖くて……最終一人で入浴ってのが出来なくなったんだ。
鈴兄貴が家にいる時は舞の修練で入浴時間が遅くなったとしても何としてでも一緒に入ってもらっていたけど、公演で居ない時は耳をふさぎながらこいつと入っていた。
こいつはこいつでそれを面白がってわざと怖い話を聞かせてくるし……それでよく優しいなんて言葉が出てきたもんだ。図々しい。
「だって君あんな下らない髪いじりでばかり笑うんだもの。僕のじゃ全然笑わなかったくせに。意地になってたんだよ、少しね」
「お前だって爆笑だったじゃねーか。つか心霊話で笑わそうとすること自体有り得ねえだろ」
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