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じいさんは旧家の人間では珍しい部類の人間で、実力があれば長男だろうが次男だろうが例え神宮本家の人間じゃなくてもこだわらないと常々言っていた。
俺らが産まれる前の当主候補は鈴兄貴にと決めていたみたいだけど、異国の血を流すものは受け入れられないと分家筋の人間が大反対したらしい。
俺と秋都も鈴兄貴と同じイギリスの血は流れている。けど母親が本家の長女だということで無理矢理納得させたと昔じいさんがポロリと独り言の様に言っていたのを覚えている。
分家と言ってもそいつらは神宮の血縁ではなく古巣の門下の人間だ。何十年と神宮の名で舞を舞ってきた奴等としてはパッと現れた子供に当主の座を奪われるのはどうしても我慢ならなかったんだろう。
でもきっとそれは秋都も同じだ。物心ついた時から神宮の当主候補として友人を作る時間も遊ぶ時間も修練に費やしてきた。それを横から俺がかっさらったんだ。そりゃ恨んでるだろうさ。
「昔、俺が当主に決まった時お前言っただろ。海都なんか死んじゃえって。あれ結構今でもひきずってるんだけど俺」
今でもそう思ってんのかってさ。そう続ければ、秋都はバツが悪そうに頬をかいて「ごめん」と一言。
「あの時は……子供だったというか。そう言ったらなんか言い訳に聞こえるかな。今はそんな事思ってないから安心して」
「今は?」
「ここ半年ほどからね」
半年って……て事は10年はひきずってたってことか。
「お前結構蛇なみだな」
「そりゃそうでしょう。君のおかげで僕の七年間は全部水の泡になったんだから。僕の七年間返せって思ったからねその時は」
「そりゃすまなかったな」
でも、と秋都の言葉が続く。
「今はそんな事無い。本当に」
「代わりに愛情でも芽生えたか?」
笑いながら冗談混じりにそう返す。俺的には秋都も冗談で返すかなと思った。けど奴から出た言葉は…………。
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