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最終きりが無いとオフクロと親父に間に入ってもらってよくよく話を聞いてやっとその女が誰かだと認識する頃にはその話はその女から学校中に広められていたという。
結局それはその女の虚言で、俺にふられた腹いせに噂を広めたと後で言われた。ふるも何も俺はそいつの名前も知らないし、顔も覚えちゃいなかったんだ。告白されたって話は……一々相手なんか覚えてる訳がないだろ、と言いたい。
「あの話ならもう片付いた。つかなんであんたが知ってんだよ」
どうせ大笑いするか変にからかってくるだけでうざいからってオフクロと親父には兄貴には言うなって言っておいたのに。
「そらぁここにはお前んとこの学校の生徒がわんさか来るからなぁ。人の口には戸は立てられんとはよう言うたもんや」
「あんたの口にも戸は立てらんねーみたいだがな」
言い捨てるように言えば「えーそんな事ないですぅ」と返される。顔はちゃかす様な笑みだ。
ああ、もうなんで秋都といいこの人といいこうも弟イジメが好きなんだ。末弟の宿命言えばそこで終わりだけど、多分「イジメんな」なんて批難すればきっと二人揃って似たような笑みを携えて「可愛がってるだけだ」なんて言って来るんだろうよ。
「あ、そうだわ。ねぇねぇ帝」
「ぁんだよ」
「湊の様子、帝が見に行ってきなさいよ」
「は? なんで俺が。お前が行くって今……」
「だって体調不良にせよなんにせよ元凶は帝に決まってんだから見舞いついでにスパっと行って仲直りしてきたら? どうせ帝だって湊が最近余所余所しいって事気にしてるんでしょ?」
「別に、俺は……」
気になってるといえば、まぁ。
樹が言っていた事も心当たりがあるから何も返せなかった訳だし。
「夫婦喧嘩は犬も食わぬって言うしぃ? 毎回喧嘩したって湊に無視されるの我慢できなくて帝が折れて仲直りしてるらしいじゃない。どうせ今回もそろそろ気になってるんじゃない?」
「……おい、テメェ誰に聞いたその話」
確かに子供の頃からあいつと喧嘩する度に最終俺が謝る形で終わるけど別にそれは毎回そうって訳じゃ……いや、毎回決まってそうだが。でもそんなのなんで家族しか知らないネタをこいつが?
湊が? でもあいつそんなペラペラ喋るような奴じゃ……なんて思考を巡らせる俺の横で上下左右へと視線を泳がせている鈴兄貴をギロりと睨みあげる。
「おい鈴兄貴」
「へ!?」
「へ? じゃねーよ。あんただろこいつに余計な事話したの」
「え、え〜? 何の事やろ。兄ちゃん知らんなぁ」
明らかさっきより態度のおかしい兄貴に、俺の眉間のシワが一つ、また一つと増えて行く。
「知らない? へぇ、知らない?」
「…………」
ゴゴゴゴと地鳴りが聞こえて来そうなくらい殺気立たせ、更に強く睨み付ける。鈴兄貴は暫くツーンとそっぽを向いていたけど、俺が本気で怒ってるのを空気で感じとると観念した様に「すまん!」とテーブルにゴンっと頭を打ち付けながら突っ伏す。
「円のひぃさんに脅されて仕方なく! すまん、ほんますまん!」
「ちょっ、脅したなんて人聞き悪いわね。あたしはただ帝と湊を仲直りさせたいって相談しただけじゃないの! それで昔はどうやって仲直りしてたの? って聞いたらそうやっててんちょさんが言うから……」
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