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「懐かしいよねぇ」
パタパタと小走りの足音と共に聞こえたそんな言葉に、湊へと視線を向ける。
「昔もさ、こーやって海と秋ちゃんと三人で並んで学校から帰ったよね。つっても俺と海はいつも二人揃って寝込んでたから数えるくらいしか学校行けなかったけどさ」
覚えてる? と横から覗き込む様に訊ねられ、ああ、と適当にも聞こえる相槌を返す。それに湊は然程気にする様子もなく昔話を続ける。
「そいや、こないだ久し振りに鈴ちゃんのアップルパイ食べたんだ。昔っから変わらないのな、あの味。俺達がさ、学校から帰るといつも鈴ちゃんがオヤツ用意してくれてて……それを食べたら、なんてゆーか、今日も終わった~はぁ~って感じになるんだよな」
「そーだったか?」
「うん! なんだよ覚えてないの?」
別に覚えてないわけじゃないけど……。
一昔前はうちの家にも沢山の住込み弟子がいて、その世話に奔走していたおふくろに俺達の世話まで見るのは難しくて。俺らが小学校にあがる頃には鈴兄貴はもう中学も卒業していて、親父やおふくろがいない時は俺らの面倒を見るのは兄貴の役目だった。
そんな兄貴に俺達3人はいつもべったりだった。
「毎日違うオヤツ作ってくれてさ、ご飯だっていつも俺達の好きな物ばっかり作ってくれて。あ、1回俺が人参ダメだって言ったときに鈴ちゃんに“好き嫌いは許さへん!”って朝晩人参攻めにされた事あるじゃん。あれは参ったなぁ。でも全部美味しかったんだけどね」
「ふーん」
「他にはさ、鈴ちゃんが……」
「……お前さ」
「ん?」
「お前、さっきから鈴兄貴の事ばっかだな」
「え……?」
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