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「か、海、俺、俺は別にそんなつもりじゃ……」
縋る様に見上げてくる湊。わかってる、今の言い方はちょっと意地悪だった。ここで鈴兄貴の名前出してどうするってんだ。
「海、ごめん。ごめん、俺」
なおも謝罪の言葉を口にする湊の頭をポンポンと撫でる。え、と仰ぎみた彼女に「わりぃ」と返す。
「……悪いのは俺だ。ごめん」
「え……?」
「余裕、ねーんだよ。今、お前相手だと」
「え? それってどういう……」
いいかけてハッと何か思い出したように口を噤む。上下左右にふわふわと視線を流した後「それって、秋ちゃんの……事?」と返してくる。
「あー……まぁ、そう、だ、な」
「べ、別にあの日のことは俺気にしてないって! 大丈夫、うん。全然。そりゃ驚いたけどさ、でもそれで二人に対してどうとかないから。うん、ほんと。だから安心して」
顔の前でパタパタと掌を振ってそう言い並べてくる。本人はフォローしてるつもりなんだろうが、ぶっちゃけ全然なってない。
「俺は秋ちゃんも海も大好きだし、それは変わらないから」
「テメェの男が女の自分を差し置いて男と……しかも実の兄貴といちゃついててもかよ」
俺のその言葉に湊がピクリと固まるように足を止める。それに合わせるかのように俺も数歩前で足を止め彼女を振り返った。
立ち止まった湊の表情は夕日の逆光のせいで影がさして見えづらかったけれど、多分さっきまでの笑顔は消えているはずだ。
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