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元凶
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だんまりを始めた俺達二人に、近衛は呆れた様に小さく溜息をつきつつとりあえずと湊の腕を掴む。
「この子はあたしが連れて帰るわ。帝は一人で帰ってちょうだい」
いい捨てる様にそれだけ言うとさっさと歩きさろうとする近衛に「おいちょっと待て」と言いかけるけれど「今話しかけんじゃないわよ」と言いたげな目で睨み上げられその言葉はゴクンと喉の奥へと飲み下した。
湊も湊で俺を振り返らないまま近衛に手を引かれるままその場を立ち去ったわけだけど……____。
あの後家に帰る早々自室にこもった俺。それを心配したのか、ご飯よと呼びに来た母さんに「作曲の締切やばいから」と言って適当に誤魔化しイスに座ってぼーっと天井を見上げた。
指先をトントンと机の上で遊ばせながら、何故か沸き上がるふつふつとした怒りに舌打ちをする。
『だってそうじゃん。結局俺が何て言おうと海は聞く気ないんだろ? 信じもしないんだろ!!』
『んな事言ってねぇだろ』
『じゃあなんで俺が言うこと全部〝けど〟で返すわけ? ぜーんぶ〝そんな訳ない〟〝そんなはずない〟って勝手に決めつけてさ、まったく聞く気無いじゃんか! 悲劇のヒロイン演じんのも大概にしたら? 最近はマシだと思ってたけどやっぱ全然変わってないな海のそのネガティブ思考。ウザ! ウザウザウザ! ちょーウザイ!』
先程交わされたそんな会話。
うざい、だと。俺が? 湊にうざい? そんな事言われたの初めてだぞ。
確かにあいつは女のくせに男みたいにサバサバしてるっつか、男より男らしい所があるけれど。そーゆうとこが俺も気に入ってて。けど女にうざいって言われたのは……。
「うざいってなんだよあの野郎……」
はぁ〜と深いため息をつきながら頭を抱え机に突っ伏す。怒りの次にやってきたのは落ち込み、っていうんだろうかこれは。音で表すならガーンという衝撃音。
仲直り、しようと思ったんだ俺は。昔みたいに馬鹿話出来る幼馴染みって関係に戻りたいって。
なのに。
「なんで言い合いなんてしてんだ俺は」
もう一度大きな溜息をつきながらボヤいた一言。その独り言を拾ったのは……。
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