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「二人のハナシ、シェリーからいっぱいいっぱい聞いてたノヨ。会えてとても嬉しい!」
そう言って両手を広げ小さな身体の中へ俺と秋都を抱き込んだ。ふわりと香るおふくろとは違ったいい匂いに、暫し体を預けたままでいた。
ギュッと力強く抱きしめてくる腕は、きっと昔同じ様に鈴兄貴も抱き締めていたんだろう。あの人のすぐハグを求めてくるクセは多分この母親譲りなんだろうな。
ぽんぽんと軽く背中を叩いた後離れた温もりになんとなく名残惜しいものを感じながら、部屋に案内するわと家に入っていった女性の後をついて俺達も玄関をくぐった。
案内された部屋は縁側の扉を開けばすぐに海が見えるというかなりいい部屋の様だった。
二人の為にとっておいたの、と微笑む奥村のばあちゃんと母親に俺も自然と笑みを返していた。
「僕近衛さんみーくんと散歩してくるけど海都どうする?」
持ってきた荷を解きなから尋ねられた言葉に「あー」と少し考える素振りを見せ「いや」と首を左右に振る。
「俺はいい」
「でたでた海都の引きこもり」
たまには率先して外に出てみたら? と呆れ顔の秋都。誰のせいだよこちとらまだ昨日お前にやられた腰が痛いんだ! と怒鳴り散らして平手打ちでもしてやりたい衝動にかられるが、そんな事言おうもんならこいつの事だ。じゃあ僕が撫でてあげようかだなんだ言ってまた余計な事をしてくるに違いない。
流石に来た早々そんな事されるわけにはいかない、と黙ったまま荷物を片していく。
あらかた片付けたあと、じゃあ行ってくるねと出掛けていく秋都を見送り、俺は縁側で丸めた座布団を枕にして寝転んだ。
海が浜辺の砂を滑る音。独特な潮の香り。風。すげー気持ちいい。
その自然に身を任せながら瞼を閉じると、すぐに心地よい眠気が襲ってくる。ぬかるみに身体を沈めて行くようなその感覚に、あえて抗いもせず俺はそのまま意識を手放した__。
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