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「もうお互い隠し事なし。ってか腹割って話そうぜ。どうせもう最終的なとこまで見られてんだし、俺はもう隠す事も誤魔化すこともないしな」
あんたはどうなんだよ鈴兄貴、と先を促せばふいっと逸らされる視線。
「逃げんのかよテメェ」
「に、逃げてへんやん。視線逸らしただけや」
「屁理屈こねてんじゃねーよバカタレ」
じとり目で睨みあげるけど、態度はかわらぬだ。
「そーゆうとこがヘタレだっつーんだよ。こないだの威圧感はどこ置いてきたんだ」
「あ、あーあれな。あれは今発酵中で冷蔵庫んなかやわ」
「パンかよ」
出た、下らない話の逸らし方。自分の立場が悪いと思ったらすぐこれだ。これで毎回本心を隠して、俺が質問攻めを飽きるまで待つんだ。けど、今回は引き下がらねーぞ。
「あんたがそんなんだから秋都だって不安定になるんだろ。この間の入院騒ぎにしろ、俺へのあの行為にしろ全ッ部あんたが関わってるんだってこと、まだ自覚してねーのかよ。明らかあんたへの当てつけ行動だろ」
「お、俺かてやな、どうするのが最良なのかくらい考えとるわ。けどな、せやからって甘い顔する理由にはいかへんねん」
「何でだよ。俺が言うのもなんだが男兄弟って案外屁でもねーぞ。男女の兄妹とは違って別にやった所でガキが出来るわけじゃないしよ」
「そうやなくてやな……あーもう何で人様んちでこんな会話せなあかんねん」
頭を抱えて大きく項垂れる兄貴を「あんたがハッキリしないからだ」と言い捨てフンッと鼻で笑ってやる。
「この際だ、俺もハッキリするしあんたもハッキリ決めろ。それがお互いの為だし秋都の為だ」
「ハッキリ……?」
「ハッキリ」
ほら言え、さぁ言えという視線を送りつつ「あー」とか「うー」とまごつく兄貴の次の言葉を待つ。
兄貴は何かいいたげに口は開くものの、それは言葉を放つことなくすぐ閉じられる。それを何度か繰り返した後、最終痺れを切らしたのはやっぱり俺の方で。
「……わかった。わかったもうわかった」
「な、なにがやねん」
もういい、と手を振る俺に鈴兄貴もピクリと肩を揺らした。
「あんたにとって秋都はそーゆう扱いって訳だな。好きは好きだけど兄弟の垣根を越えてまでは好きじゃないと」
「え、いや、それは」
「俺は好きだ。あいつをあんたに渡したくないって、今本気で思ってる」
勢いに近い状態で吐き出した言葉に、兄貴の顔から一切の表情が消える。この間と同じ顔だ。
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