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1百目鬼さんとマキ様
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【百目鬼side】
俺の事務所は動物園みたいに賑やかだ。
自分で言うのもなんだが、すぐキレて吠えて暴れる俺、百目鬼神と…。
運転手兼電話番のドジすぎるスピーカー男の矢田。
最近、探偵見習いから探偵に昇格した、仕事はできるが俺をからかうのが趣味の檸檬。
その姉で、全員のまとめ役(飼育係)杏子。
事務員じゃないが、仕事が軌道に乗らない時、仕事の依頼を紹介してくれてた刑事の賢史(けんし)
こいつには世話になってるが、チャラくてむさい顎髭おっさん。
まぁ、俺と同い年なんだが…。
そして、こいつが一番厄介な獣だ。
俺の恋人で、事務所に出入りする事もある、マキ。
本名、茉爲宮優絆(まなみやゆうき)
19歳の医大の一年生。
クオーターのマキは、色白で中性的な顔立ち。見ため男か女かも分からない、いわゆる美形。
普段は黒のカラーコンタクトを入れているから、そこまで外人色は強くないが、本当の瞳はグレーがかって深い青やエメラルドグリーンなどに光る不思議な瞳、ジュピター色の瞳をしてる。
このマキが、実に厄介なエロガキの淫獣だ。
自分の可愛さも綺麗さもよく知ってて、その可愛らしい仕草と色気を振りまいてやがる。
こいつの飼育は本当に大変だ。
今、世の中はクリスマス真っ只中。
遡ること2週間前。
マキは、友達の修二の家でクリスマス会をすると張り切っていた。
ケーキを予約して、パーティー用品を買いに行くというから車でトンキーホーテーに送ってやったら、窓際にあったサンタのミニスカコスプレを見付けて「可愛い」と大はしゃぎしだした。
百目鬼『おい!まさか着るんじゃないだろうな!』
マキ『ふふっ♪修二の前でじゃないよぉ♪神さんと二人きりの時なら着てもいい?』
真っ赤なミニスカサンタのコスプレを、この淫獣マキに着せたら、そのあとどうなるか分かりきってる。
しかも、あんな短いスカート履いたら、マキの色白の太もも丸出し、ぶかぶかの赤い帽子、白のモコモコに擦寄る仕草、もう、見るに堪えない可愛さ全開で俺の理性が持つわけがない!
百目鬼『あんなふざけたもんだ着るな!』
マキ『えー、クリスマスだからサンタの格好したかったなぁ。じゃあ、ズボンのサンタさんならいい?』
百目鬼『ダメだ!!』
ズボンになっただけで、上半身のエロさは変わってねぇ!!
せっかくのクリスマスなのにとシュンとするマキに、結局負けて、サンタの帽子とポンチョのセットを買ってやったら。でっかい瞳をキラキラさせて大喜びしてやがった。
マキは、とんでもなく可愛い生き物だ。
本人もそれを自覚して仕掛けてくる。
マキと付き合うまで、俺は恋人がいたことがない。
だから、恋人をどう扱うのが正しいのかも分からない。
俺は、普段からキレやすく。更に、性的にもすぐに理性を失う。特に、好きな奴の涙を見ると、もっと泣かせて、それでも好きだとしがみつく姿が見たくて仕方がない。
だから、心配で仕方がない。
色白でか細いマキを、壊してしまうんじゃないかと…
マキは、淫乱でふざけていつでも笑って誤魔化す。
だが、その中身は、とても繊細で幼くて優しすぎる。人に弱みを見せるのが好きじゃなくて、一人でなんとかしようとしようとする頑固者。
それもこれも全部、マキの幼少期の体験が原因だ。
マキは愛人の子供で、虐待こそされなかったが、普通の家庭では育ってない。
仕事に追われる育ての父親に、それなりに愛情を注がれてはいたが、その育ての父親が見ていたのはマキではない、そのマキの面影に残る、産みの親に対する愛情だった。
マキは、一人でいることを普通のことだと思って育ってしまった。
本当は、寂しがりやの甘えん坊のくせに…。
寂しいとか、甘えたいとか、そういうのを言うことすら、弱音だと勘違いして、しかも、その気を使う性格から、他人のこと優先で、自分は何も望まないのが当たり前だと思ってやがる。
それもこれも全部。育ての親の清史郎が、マキを母親の身代わりにしたから…。
マキは、清史郎が好きだった。だから、自ら望んで身代わりになったと言い張る。だが、それは年上の清史郎がダメだと教えてやらなきゃいけなかったんだ。
マキは可愛い。そのままで十分すぎるくらい可愛いし、あいつは良い子過ぎるくらいだ、もっと我儘に、もっと子供らしくして良いんだと…。そのままの茉爲宮優絆がどれほど愛される存在か教えてやらなきゃならなかった。
人は皆傲慢だ。どんなに気を付けて上手く生きてても、自分優先になってしまう時がある。
清史郎は、叶わぬ恋をマキに押し付け母親の代わりにし…
俺は昔、片思いを叶えたくて嫌がる修二を無理やり手に入れようとした…
俺は傲慢で自分勝手だ。
そんな過去を持つ俺が、清史郎を説教できるわけもない。
そんな俺が、マキを救ってやれるわけもない。
だが…。過去はどうすることもできないが、今をどうにかすることはできる。
俺は、マキを甘やかしてやりたい。
もう泣かないようにさせてやりたい。
もっと我儘に、マキらしく、茉爲宮優絆らしく、そのままのあいつで居られるようにしてやりたい。
あいつの、安らげる場所でありたい…。
しかし、願いはそうでも、現実は上手くいかない。
俺の探偵事務所は今年から急に一般の依頼が増えた。評判が評判を呼び、沢山依頼が舞い込むようになり、今が一番大事な時だ、この評判が定着すれば、事務所は安定する。
そうなれば、もう一人事務員を増やして円滑にし、この先定期的に休みを作ることも可能だ。
マキは寂しがってる。
もっと一緒にいたいとか、出掛けたりしたいとか、クリスマス一緒に過ごそうとか、言葉にこそしないが、絶対そう思ってる。
クリスマスも一緒に居てやりたい、だが、世の中が恋人と過ごす日は、浮気の日でもある。
浮気調査のピークが、クリスマス周辺に集中してた。
マキと付き合ってから初めてのクリスマス。
マキは何も言わないが、一緒に居たいと思ってる。ましてや、友達の修二が恋人達と一緒に過ごしてるんだ。羨ましいだろう。
だから、少しは優しくしてやったほうが良いのは分かってる。分かっちゃいるが!!
あのキラキラした瞳で本当に嬉しそうにクッソ可愛い面しやがる癖に!!
マキ『うん♪すっごく嬉しい♪嬉しくて嬉しくて思わず飛びついてギュって抱きしめたくなっちゃったから思わず降りてきちゃった。お仕事の邪魔してごめんね』
なんですぐ引いちまう!
邪魔じゃないが!仕事が遅れたらお前と過ごす時間が減るだろ!!
いや、吠えたのは俺がだ…
俺が悪いんだが…俺が悪い…だが…!
あんなキラキラしたマキに飛びつかれたらその場でブチ切れてベッドに縛り上げて何日も閉じ込めちまうよりマシだろ!!
あのクソ可愛い生き物に少しでも触れれば、俺の脆い理性は粉々だ。
マキには、こういう時は一緒にいるもんだと教えてやりたい。
教えてやりたいし優しくしたいが…
ついつい怒鳴っちまう…
俺も悪いが、マキがふざけ過ぎるのも悪い…
マキには優しくしたいし、一緒にいる温かさを信じさせたい…
なのに…
矢田「百目鬼さん!俺なんでも手伝いますよ!早く終わらせて、マキさんの所に行ってあげてください!」
百目鬼「矢田…、ありがたいが、お前は運転だけ頑張ってくれ」
檸檬「きゃははは!百目鬼さんマキちゃんと一緒に居られなすぎて爆発寸前じゃん!だったら、ちょっと時間作って一緒に居てあげれば良いのにぃー」
杏子「檸檬、百目鬼さんは、少しじゃ足りないのよ。それに、あまり刺激すると、とばっちりはマキちゃんに向かうからあまりからかうんじゃないの、百目鬼さんをイライラさせると切り替え効かなくて、そのままのテンションでマキちゃんと会話するから、ここ最近〝マキちゃん可哀想なくらい怒鳴られてるのよ〟あー、可哀想」
グッ……
マキには…、本当に申し訳ない…
俺のスケジュールじゃどんなに頑張ってもクリスマスまでに時間が作れない。
25日の夜中深夜回ってからなら一緒にケーキ食うくらいならできるかもしれないが…
出来ない約束はしたくない。
期待させて、やっぱりキャンセルっていうのは、マキには良くない。マキは、希望を持つことをしたがらない。だから、約束してそれを守れないのを繰り返したら、マキは俺を信じなくなる。
だから、少しでもクリスマス期間中にクリスマスを味わえるようにしたくて、先にプレゼントを渡した。
そして、クリスマスの気分を味わえるよう、クリスマスらしい企画を計画していたのだが…
これが、マキを悲しませる結果となるとは、
思いもしなかった……。
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