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2百目鬼さんとマキ様
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12月24日22時頃
百目鬼「ちゃんとご飯食べたか?戸締まりしたか?髪の毛は乾かしたのか?」
マキ『ふふっ♪神さん心配しすぎぃー♪ご飯は神さんの作り置きいっぱい食べたしぃ♪戸締まりちゃんと確認したしぃー♪髪はちゃんと乾かしたよ♪。神さんのお気に入りの僕の髪だもんね♪』
百目鬼「…ッオイ」
マキ『いい子でお留守番してるよ♪』
今日は泊まりになったために、家に帰る事ができない。マキを留守番させるのは心配だが、これが片付けば、明日の夜には全部終わる予定だ。
マキは、キャピキャピした奴だが、本当は寂しがり屋の甘えたがり 。なのに、絶対に言葉にしない頑固者。
最近やっと少しは言うようになったかと思うが、どれもこれも下ネタ混じり。
頼むから、俺に解るように素直な言葉で言ってくれ!
百目鬼「今夜は眠れそうか?」
マキ『ふふっ♪大丈夫♪、神さんがこうしておやすみの電話してくれたから平気だよぉ♪』
ほらな、「心配し過ぎ」「大丈夫」「平気」だの…
極め付けが「いい子」
〝寂しい〟〝側にいて〟とは言いやがらない。
へらへらしやがって…
マキは、おそらくそういった我慢の積み重ねや、何かしらのトラウマが原因か、不眠症を患ってる。本人はあっけらかんとしてて、誰かと一緒ならぐっすり眠れると言う。
つまり、どんなにヘラヘラいい子を取り繕って明るく振舞っても、〝寂しい〟気持ちが不眠に関係あると俺は思う。
マキは弱みを見せたがらない。
だから、不眠症の詳しい原因も、SEXに依存気味なのも、まだまだ詳しくは教えてもらえないし、どうやら、本人も良くわかってないようなのが現状だ。
本人のためを思うなら、主治医の所に一緒に行って話を聞きたいが、マキは、「大丈夫、最近減ってるから」と真面目に取り組む姿勢にない。
あまり強く言うと、俺が添い寝やSEXを嫌がってると誤解を招くし…。
百目鬼「明日は一緒に寝てやれるからな」
マキ『ふふっ♪寝ちゃうのぉ?』
百目鬼「…オイ」
マキ『ごめんなさい…首輪貰って興奮しちゃって♪』
百目鬼「だから、それは首輪じゃなくてチョーカーだ!だから嫌だったんだ、俺は首輪なんか買いたくない、そんなもんで縛ってしまいたくない、お前が欲しい欲しいいうから…」
マキ『。。。…。あははっ♪ごめんごめん♪。…ごめんなさい百目鬼さん』
百目鬼「ッ!、だいたいちゃんとカードに書いただろ!俺はお前を縛るためじゃなくて守るためだと…」
マキ『うん♪書いてあった♪。僕的には、縛ってくれていいんだよ♪ふふっ♪』
可愛らしく笑って、俺の全てを肯定するこいつを、いつか壊しちまいそうで怖い。
俺は何でも壊してきた。
その乱暴さで…
だから、過去を反省して何もかも大切に大事にしたい。なのに、マキは、乱暴な俺も、獰猛な猛獣と化したキレた俺ですら受け入れる。
何もかも許して受け入れてしまう。
マキ『僕は、どんな神さんも大好き♪』
マキは、自分を大事にしない。
百目鬼「オイ、また〝僕は〟って言いやがったな」
マキ『えっ、いや、普通に言っただけだよ』
百目鬼「お前の普通は普通じゃないんだよ。まだわからねぇのか、お前より俺のほうがお前を好きなんだぞ」
マキ『ッ!?ちょ、怒らないでよ。それに神さんばっかずるいよ。僕の方が先に好きだったのに』
百目鬼「ァア?先とか後とかどうでもいい、今は俺のほうが上なんだから、お前は信じてりゃいいんだよ」
マキ『上とか下とか…、神さんのことは信じてるけど…、そこは僕の方がいっぱい好きだもん』
百目鬼「はぁあ?お前のいっぱいは謙虚だなぁ、好き好きいうのは簡単に言う癖に、他の言葉はてんで出てこないじゃないか、全く素直じゃないし」
マキ『えー!それを神さんが言っちゃうの?素直じゃないのは神さんじゃん。本当は僕とイチャイチャしたい癖に』
百目鬼「あ¨ー?イチャイチャしてーのはてめーだろ!キスぐらいで腰砕けになりやがって」
マキ『ッ…、そ、それは、神さんが突然キスしてくるから』
百目鬼「強請って誘ってエロいオーラだだ漏れでいた癖になにが突然だ、食べてくださいって額に書いてあったろうが!」
マキ『…、あはは♪神さんには、僕を〝たべてください〟って書いてあるように見えたの?また可愛い猫耳としっぽが見えたのかニャン♪僕のこと可愛すぎて食べちゃいたいの間違いじゃない?♪』
百目鬼「うっさいエロガキ!!都合良く解釈すんな、さっさと寝ろ!!」
ーブッ!ツーツー
はぁ…はぁ…
ーツーツーツー
あっ…
しまった…
気がついたら、電話を切っちまってた。
くそ…
時計を見たら、23時になる寸前だった。
ちょっと声を聞かせてやろうとしただけなのに、1時間近く電話して、しかも最後は怒ってガチャ切りとか…。俺は、どうしたらこの性格が治るのか…。
なにが悲しくて、他人のラブホ現場張り込んで、自分の恋人と喧嘩しなきゃならないんだ…。
でもまぁ、今回はまだましだと勝手に思ってた。
12時過ぎてマキが寝たら、もう一つのクリスマスプレゼントが届くようにしてあった。
だから、これでマキの機嫌も取れると、勝手にタカをくくっていた…。
0時を回り、25日、午前1時…
相変わらずラブホの前で張り込んでいたら、携帯に杏子から電話がかかってきた。
杏子『すいません百目鬼さん、今いいですか?』
杏子には、マキが寝たら枕元にクリスマスプレゼントを置いてもらうように頼んでた。
クリスマスを一緒に過ごしてやれないマキに、サンタからプレゼントが届く、と、クリスマス気分を味わってもらうために計画したものだったが…
なぜか杏子の声が沈んでる。
百目鬼「大丈夫だ。どうした、マキがまだ寝そうにないか?」
杏子『いえ、プレゼントは無事枕元に置けたんですが…、マキちゃん私の気配で起きちゃって、一応ちゃんと隠れてバレないようにしたんですが、それが逆に良くなかったみたいで…』
百目鬼「…泥棒と間違われたか?」
杏子『いえ、マキちゃん直ぐに枕元のプレゼントに気がついて、…それで……』
口籠り、言いづらそうな杏子。
百目鬼「プレゼントが気に入らなかったのか?」
杏子『…百目鬼さんが…帰ってきてると、マキちゃんに思われちゃって…』
百目鬼「?」
杏子『マキちゃん、凄い喜んじゃって、百目鬼さんを探しちゃったんです』
百目鬼「…………」
杏子『私、とても出ていける空気じゃなくて…。マキちゃん凄く嬉しそうに百目鬼さんを呼んでたんですが、玄関に百目鬼さんの靴が無いのと、百目鬼さんが帰った気配が無いのが分かると、凄くがっかりしちゃって…』
暗い部屋の中で、落ち込むマキを想像した。
なんだかとんでもなく酷いことをしたような罪悪感が…
(マキ『……じ…んさん…、…いないの……』)
ッ!…………これは……まずい…。
杏子『…ごめんなさい百目鬼さん』
百目鬼「すまなかった杏子、お前のせいじゃ無い…」
杏子『…その、落ち込まれてるところ追い打ちみたいで申し訳ないんですが…』
すまなさそうにする杏子にむしろ申し訳なさが募る。
百目鬼「なんだ、言ってくれ」
杏子『マキちゃん、プレゼント見た後、独り言でボソッと、サンタより神さんが良かった…って…』
百目鬼「…………………」
頭を抱えて悔やんでも、なにも解決しない。
マキに下手な希望を持たせ、がっかりさせたのは俺だ…、俺だが………
…………………クソ…
素直な言葉が欲しい…
欲しいが…
頼むから俺のいる所で言いやがれ
頑固者のクソガキが…
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