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俺たちの始まりは【華南】1
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【華南side】
俺たちは、自然と一緒にいた。
俺とむつと修二との出会いは中学の時。
小学校は別だったが、むつの噂はそれぞれの小学校に届いてた。
中学で合流した時、その噂が何処まで本当か疑ってたが、小さな金髪の獣は中学入学式で、周りに〝噂は聞いてたが、なんだ大したことなさそうなチビじゃん〟と言った奴ら全員を秒殺した。
俺は喧嘩ばかりする馬鹿どもとは違うが、男として、強い男には興味があった。
むつとは、同じクラスになり、何度もタイマンを挑んだが、一度も勝つことは出来なかった。
それもそのはずだ。むつの師匠は奏一さん。
修二の兄の奏一さんは、地元で一番有名な朱雀の特攻隊長様だった。奏一さんはイケメンで、けしてガタイは良い方じゃなくスマートで、端正な顔立ち、現在の穏やかでクールな奏一さんからは想像できないほどキレやすく、一度キレたら誰にも止められない鬼と言われていた。
俺は、奏一さんが朱雀だった時知り合ってなかったから、奏一さんのそういう顔は知らないが、修二に奏一さんを紹介された時には、一目でこの人を怒らせたらヤバイっていうのは良くわかった。
この人が修二を守ってるから、修二がここまで純粋で優しく穏やかな性格なんだと納得しながら、反面この二人が兄弟であることを疑問にも思ってた。穏やかだけど、キレたら相当やばそうな奏一さんと、キレるなんて無縁の仏のような修二。まぁ、二人は7つ離れてたし、修二の所は母子家庭だから、奏一さんは父親代わりだったのもあったんだろう。
とにかく修二は良い子で、優しくて周りを和ませる癒しオーラが出てた。その癒しオーラは、奏一さんにはもちろんだけど、金髪の獣のむつにも効果てきめん、短気なむつも癒して穏やかにしてた。
むつは、同じ小学校出身の修二と放課後よく一緒にいたが、クラスが離れていたのと、修二は喧嘩よりよく保健室に出入りしてるようで、最初俺とは接点がなかった。
むつは、売られた喧嘩は片っ端から買ったが、自分から吹っかけることは殆どない。修二が一緒だからだったんだと知ったのは、中学2年の時。
中2で三人同じクラスになって、修二とも喋るようになった。そっから良くつるむようになって、高校でも一緒。
高3で調教師で魔性のマキ様と遭遇し、知り合ってからは、いろいろあったが無事高校卒業。
社会人2年目の今では、俺とむつと修二は恋人で、3人一緒に同棲してる。
マキ「わぁ♪懐かしいねぇ♪それ高校の時の写真?むつが金髪だぁ♪」
今日も仲良しのマキがウチに遊びに来た。
だけどクリスマスの終わった今は大掃除に忙しく、俺たちの部屋は雑然としてる。
マキは俺たちのアルバムを見つけて懐かしそうにはしゃいで手に取った。
高校の頃金髪の獣だったむつは、高校卒業と同時に就職するために髪色を茶髪に抑え、今はマッサージ師に転職して個人経営だから、明るいベージュアッシュにしてた。
華南「いらっしゃいマキ、…それ、どうしたの?」
マキは、手に取ってたアルバムから目を離し、俺の指差したマキの抱っこしてる物を物凄く嬉しそうにギュッと抱きしめ直して極上の笑顔で笑った。
マキ「えへへぇ♪貰ったのぉー♪」
マキの抱えてた、体長1メートル近くある大きなホワイトライオンのぬいぐるみ。
マキの嬉しそうな照れ顔を見て、それが誰からの贈り物かすぐ分かった。
ぬいぐるみなんか到底似合わない、不器用で強面の男、マキの恋人の百目鬼さんだろう。
魔性マキ様と呼ばれたヘラヘラ笑うマキを、こんな風に子供っぽく幸せそうな笑顔にするのは、彼しかいない。
「よかったな、でもそれ持って電車乗ったの?」って返そうとしたら、百目鬼さんのことが大嫌いなむつが飛んできた。
むつ「なんだそりゃ!ぬいぐるみなんてこどものオモチャじゃんか!」
マキが持ってるホワイトライオンをソファの上から仁王立ちで見下ろして敵意むき出しで毒づくむつ。
むつは百目鬼さんが大嫌い。
昔、百目鬼さんは修二と体の関係があって、最初は百目鬼さんが無理やり修二を襲った。二人には互いに好きな人がいて、百目鬼さんは奏一さん、修二にはむつ。だけど男同士、叶わぬ恋に押し潰され、お互いを慰め合い、修二が中1だった時の半年間関係が続いた。だけど、百目鬼さんが修二を好きになっても、修二はむつを好きだった。百目鬼さんが修二に気持ちを伝えたが、修二はむつが好きで百目鬼さんの気持ちに応えられないと、関係を終わりにしたいと言ったら、百目鬼さんはキレた。
彼は元々暴走壁があり、最初に修二を襲ったのも、奏一さんを好きな気持ちを抑えられず、顔が似て、奏一さんより力のない修二に奏一さんを重ねてキレたのが原因。修二に振られた百目鬼さんは、修二を一週間監禁して無理やり自分の物にしようとした。兄の奏一さんが救い出すまで修二は一週間の間何度も犯されてた。
それが中1の時の話。当時俺は修二と話すようになる前。むつは、その時修二は風邪で一週間寝込んでたと聞かされてて知らなかった。
百目鬼さんは奏一さんにボコボコにされ追放された。
そして、俺らが高3の時、百目鬼さんが再び修二の前に現れ、その過去を俺たちが知る事になる。
むつの怒りは計り知れなかった。俺ももちろん許せなかったが、修二の心の方が心配だったのと、中1で事件があった時俺は修二を知らなかった。だけどむつは、小さい頃から隣にいて、いつも一緒にいて、中1の修二がそんな目に遭わされてると気付かず、高3で俺たちが体の関係を持つようになった時も「気持ちいいからヤらせろよ」と言っていたことを激しく後悔し、自分にも、百目鬼にも怒り狂った。
百目鬼さんの過去のことは許せない。
だけど、中1の修二は、男のむつに恋してる事に悩み、ゲイであることを誰にも打ち明けられずに苦しんでた。その時、話を聞いてあげたのは百目鬼さんで、体の関係があった半年間は、不器用な百目鬼さんなりに修二に優しかったし、修二の助けになってた。
修二は、再会した百目鬼さんに…
『トラウマにはなったけど恨んではいない、あの時百目鬼さんが〝人を好きになるのは自由だと〟言ってくれたから、今の僕がいて、壊れなくて済んだし。むつが好きなのに百目鬼さんと会い続けたのは僕自身だから、だから、百目鬼さんも前に進んで…』
と言った。
百目鬼さんは修二のことが好きで好きで暴走して、結果何もかも失ったけど、暴走して好きな人を泣かしてしまう自分が嫌いで、そんな内なる獰猛な猛獣と戦う不器用な人だった。
修二はそれが分かってた。本当は優しい人って。
百目鬼さんが修二を諦め、俺とむつは、修二と本当の意味で結ばれた。
体から始まったから、威張れたもんじゃないが、付き合うと決めた時、俺もむつもちゃんと修二を好きだった。修二は、俺とむつはゲイじゃないから高校卒業までの気の迷いだと思い込んでたみたいだけど、俺もむつも修二の手を離さなかった。
修二の過去を知らなかったら、俺とむつは、修二を不安にさせ、傷つけ続け、逃げられてたかもしれない。
百目鬼さんが暴露しなければ、きっと修二は隠し続け、高校卒業と同時に俺たちの前から消えてただろう。そう思うと、怖くてたまらなかった。
修二にとってはとんでもない過去だが、結果として俺たちは付き合って同棲してる。
そしてもう一つ。
修二を諦めた百目鬼さんは、マキと出会った。
まぁ、修二と百目鬼さんが再会した時、結果として諦めるように仕向けたのはマキ。百目鬼さんの片思いも、修二のトラウマ改善にも大きく影響を与えた。
そのマキと、約1年半後に再会した百目鬼さん。
マキは、百目鬼さんの一途すぎて暴走する自分と葛藤し誠実であろうとして出来ない彼に惚れてた。
2人は長く揉めたけど、マキの気持ちに百目鬼さんが根負けした形で付き合いだした。
百目鬼さんは、マキが修二の友達だという事。そして治らない暴走壁にかなり悩んで苦しんだみたいだが。マキの持つ、何もかも見透かすみたいに包み込む不思議な包容力に心を溶かされていった。
俺たちは、マキが心配だったけど、そんな心配は要らなかったというような、百目鬼さんのマキに対する溺愛っぷり。マキが好きだと迫ったから根負けしてって思ってたけど、俺は、なんか違う気がしてる。
百目鬼さんは、修二の友達に手を出しちゃいけないと思ってた時点で、もうだいぶマキの事が好きだったんだと思うんだ。
結局、百目鬼さんの暴走壁は治ってないみたいだけど、人の片思いばかり叶えてて自分は2番目で誰かの代わりでいいと言ってたあのマキが、百目鬼さんと付き合いだしてからこんなに幸せそうだし。百目鬼さんは顔はいつも怒ってるけど、マキの事誰より考えて独占欲丸出しだし甘々だし、結果良かったんだと俺は思う。
むつは、マキが幸せそうなのは嬉しいが、百目鬼さんが修二にした事も、今もマキを泣かせる事も納得いかず許せずにいる。
マキにとって百目鬼さんがどれだけ大切か分かってるけど、マキを泣かせる事に我慢できないんだ。
とんだツンデレだよね。
むつ「ってか、あの顔でそんなもん買うなんてキモち悪りぃ」
マキ「可愛いじゃん♪、僕のために選んでくれたんだよ♪眉間にこーんな濃いシワ作りながら♪ぷぷっ♪」
むつ「…とかなんとかいいながら、また泣かされたんだろ!、瞼が腫れてんじゃんか!」
俺も気がついてたが。
むつが殺気立ってマキの瞼に触れると、マキは嬉しそうに笑う。
マキ「えへへっ♪昨日は一日中ベットの中だったからぁ♪」
惚気て照れるマキに、固まるむつ。
ってか、少し考えれば想像つくだろ、大方、百目鬼さんが自分でホワイトライオンプレゼントしといて、マキがこんなに可愛く抱きしめて笑うのに嫉妬して暴走したんだろうよ。
むつ「…あいつSEXばっかりじゃんか…、動物みたいに盛りやがって…」
マキ「えー、むつはシたくたい?一日中ベットの中で修二とイチャイチャ♪」
むつ「……シたい」
ああ!俺も修二とむつとシたい!!
むつ「ッ!でも!あいつ毎回乱暴に…」
マキ「もー♪情熱的って言ってよぉー♪僕ってば、赤ちゃん出来そうなくらい激しく愛されちゃて超気持ち良かったんだからぁ♪」
むつ「…マキなら…マジ妊娠しそうでこえーよ」
それは、俺も同感。
マキなら、産みそうだもん。
『えへへ♪百目鬼さんの子供の双子ちゃん♪可愛いでしょ♪』
とかなんとかいいながら、百目鬼似の強面の赤ん坊抱いてそうだよ…。
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