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俺たちの始まりは【華南】7
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だから…
マキに、なんでむつを好きになったのか、なんで修二を好きになったのか、本当のことを言える訳がない…。
華南「…、いやー!むつが可愛くって可愛くってー」
むつ「あんだとこの野郎!!可愛いだと!!かっこいいと言え!!」
華南「あははははっ」
可愛いとか小さいはむつの禁句。禁句に怒ったむつが俺の胸倉つかんでガンガン揺さぶってきたけど、これで誤魔化せるはずもなかった。
マキは、俺を見つめながら意味深にニッコリ笑うんだ。
マキ「ふふっ♪」
マキ様の時のような悪戯な瞳で…
マキ「かなぁん♪」
華南「な、何?」
マキ「華南の小さい頃のアルバムが見たいな♪」
華南「いや、俺の小さい頃のは実家にあるから…」
マキ「えー、見たい見たい♪僕って大勢兄弟とか憧れだから、華南のアルバムが見たいなぁ♪」
華南「…大勢の兄弟だったら、百目鬼さんの方がいっぱい居るんだから百目鬼さんに見せてもらえよ」
百目鬼さんは、元は一人っ子だけど、途中で親が再婚して、その連れ子が沢山いて兄弟が出来たとか聞いたことある。
百目鬼さんはマキとの仲を深めるために、お互いの生い立ちを話して共有してっていうのを今やってるらしい。なんでも百目鬼さんがその連れ子の兄弟達と家族になるために、お互いの思い出を共有しようと両親たちがみんなのアルバムを見せ合い語らった思い出があるとか。
その影響で、マキは最近写真を撮ってアルバムにすることに凝ってる。百目鬼さんを撮ったり、俺たちを撮ったり…。
だからだろうか、急にアルバムが見たいなんて…
マキ「百目鬼さんのはもう見たよ♪弟や妹がいっぱいいて、今ではほとんど結婚してて、甥っ子姪っ子がいっぱい居るんだ♪♪、百目鬼さんがオムツ変えてる写真もあったよ♪♪」
華南「ならもう…」
マキ「男兄弟のが見てみたいの♪♪」
華南「いや、別に変わったことなんかないぜ」
マキ「見たい見たい♪。むつも修二も見たいよねぇ♪」
可愛子ぶりっ子で駄々をこね出したマキが、むつと修二を巻き込みやがった、むつに聞いたら答えは決まってるのに…。
むつ「そういやぁー、華南の小学生の時とか知らねぇーな。いつからそんなデカかったんだよ。そういや華南ところはみんなでかいよな、弟の北斗も会った時から俺よりあったし、東紫は高身長に顔イイのいいことに女と遊びまくりだし、一番上の兄貴は…、…チラッとしか会ったことないな、あの人もデカイよな」
修二「西牙(さいが)さんね。もう社会人だから一人暮らしだからね」
むつ「あのツーンとした眼鏡の如何にも仕事も勉強も出来ますって顔な」
まぁ、西牙兄さんは目が細いから眼鏡で余計そう見えるかもね。あと、喋り方硬いけど、なんでもそつなくこなしちゃう人だから。複数の女と同時に付き合えるほど器用だし…
修二「ツーンとしてる?エリートって感じでスーツパリッと着こなしてカッコいいじゃん」
むつ「はあ!?そんな風に思ってたのか!?」
ええ!!修二って西牙兄さんのことが好みだったの!?むつじゃないの!?
修二「ぇえ!?ちょっ、むつ違うから落ち着いて!」
むつ「…やっぱ身長か?華南のとこみんな長身でガタイもいいし…」
いや、それは絶対ない。
修二はむつの心に惚れてるから見た目は関係ないでしょ。
修二「む、むつ?僕ちゃんそんなこと言ってないでしょ」
むつ「じゃあ、修二は俺のどこを好きになった訳!?」
修二「ええ¨っ!!なんでそんな話になっちゃうの!?」
むつ「だって気になんじゃん!!まさか修二まで俺のこと可愛いとか言わないよな!!」
いや、むつ君残念。修二が困り顔で恥ずかしそうに顔赤くしちゃってるよ…
やっぱ修二もむつのこと可愛いと思ってるとこあるんだよな。
まぁ、鈍感むつは修二の表情じゃ気づかないだろうけど…。
むつ「俺だってまだ身長伸びてんだからな!そのうち修二に屈んで貰わなくてもキス出来るようになるし!SEXん時だって届くように…」
修二「ぎゃー!むつッ!!」
むつ「華南はずりーよ。親のおかげで体大きいんだぜ、それに顔もイケメンだし!優しいし気も聞くし!SEXうめーし良いとこばっかじゃん!!。俺はあんまだし…、ってか修二は俺のこと大好きだし、俺も修二のこと大好きだけどさ。やっぱ華南と比べっと俺は馬鹿だし気も効かねぇーし短気だし、SEXだって…」
修二「ちょっ!ちょっとむつ!!もうやめてよ!!マキの前で!」
顔が真っ赤な修二。
いつまでたっても初々しくて可愛い…
だけどむつ、それは違う。
俺は確かに優しいかもしれないが、俺の優しさが2人の力になったことはない。
修二を救うのはいつも、むつの強引な直球の気持ち。
むつを救うのはいつも、修二の愛と強い心。
俺はいつも、2人のピンチに一歩届かない…。
見守ってばかりだ…
マキの時だってそうだ。マキがピンチに陥った時も、むつの強引さと、修二の真っ直ぐで包み込む優しさがマキと百目鬼さんを助けた。
俺はいつも、見守ってやることしかできない。
むつ「今更じゃね?マキには全部見られてっし、全部知られてんだから」
修二「いやいや、だからって」
マキ「ウフフ♪♪そうだよ♪修二の体も心も知ってるし♪むつ君の体のこともぜーんぶ知ってるよ♪」
むつ「こらマキ!!ドサクサに紛れて修二に抱きつくな!!」
俺はいつも一歩届かない。
3人でやんちゃしてる時、むつが先頭切って修二が後ろを守るから俺が真ん中だった。普段も、我儘なむつに修二がなんでも聞いてやり、むつの我儘や全部合わせちまう修二の間にいた。
兄弟4人の時もそう、個性の強い兄弟を宥めて纏めるのが俺のポジション。
ずっと真ん中だった。
今は、恋人として、むつと修二に挟まれて幸せだし両手に花だし。
むつにも修二にも好かれてる自信はあるけど…。
マキが百目鬼さんと上手くいってるのを見てると、時々ふと気になる…。
俺の下心が、3人で居る理由を作った。あれがなかったら、むつは修二を…、修二はむつだけを好きでいれたんじゃないかって…
…あぁ…、だめだ…、最近こればっか考えちまう。
疲れてんのかな…
マキ「かぁーなん♪」
華南「わっ!?」
急にマキが後ろから飛びついてきた。
手に持ってるホワイトライオンの肉球で、俺のほっぺをぷにっと押しながら。マキの髪からふわりといい香りがして、悪戯っ子の声が聞こえた。
マキ「何考えてるの♪」
どこか楽しげなマキは、俺の頭の中が分かってるかのように俺を抱きしめる。
むつ「コラ¨ァ!!マキてめぇー何華南に抱きついてんだ!百目鬼に言うぞ!!」
とか吠えながら、むつは修二を抱きしめて離れたところから俺に抱きつくマキに怒鳴る。
マキはそんなむつを見てニコニコしながら俺の首に腕を絡めた。
マキ「ふふっ♪、むつ君ってば修二の時は飛んできた癖に、華南はいいの?僕の餌食になっても♪」
むつ「…マキ」
吠えてたはずのむつが急に真顔になって眼を細める。
その答えはマキにとって意外だったんだろう。
むつ「お前は華南を餌食にはしねーよ」
マキ「……」
むつ「お前が浮気したら、百目鬼が怒り通り越して泣いちまうぜ。お前にベタ惚れなんだからよ」
マキ「……」
キョトンとして目をパチクリしてるマキは、むつが言わんとすることが理解できない訳じゃないだろう。
ただ、表情は余裕そうなのに動揺してるのか、人前では〝百目鬼さん〟と呼んでいるのに急に名前呼びに…
マキ「…あはっ♪、神さんは泣かないよ」
むつ「泣くね、みっともなく鼻水垂らして泣くね」
マキ「あははっ♪、鼻水だってー、神さんが鼻水とか無い無いキャハハハ♪」
あの強面の百目鬼さんが鼻水…、ブッ…クククク
無いなぁー、あの人が泣くとか。いや、なんつーか、怒りのボルテージ超えても怒りが湧いてそうだし、マキに浮気されたら、泣くっていうより…、マキを犯り殺しちまいそうだ…
まぁ、多分、マキが浮気は無いだろうな。
こんなチャラケてっけど、誰より愛されることに飢えてて、百目鬼さんの執着心と凶暴さを知ってて百目鬼さんがいいって言ってたのはマキ自身だし。何より、ふざけてばっかだけど、マキの中身は誰も見抜けないほど純粋で繊細だ。
笑うマキに、むつはイラついて何故かムキになって言い返してたが、マキはあり得ないとさらに笑って返す。そして、むつが離さないせいで間に挟まれた修二は、頭を抱えてむつをどう止めようか悩んでるご様子。
結局、その日はずっとむつとマキが喧嘩(?)してて、むつは最後までプリプリ怒ってた。
最後は、仕方ないのでむつは修二に任せ、俺はむつが怒ってるのを面白がってるマキを駅まで送ることにした。
華南「…なんか、ごめんな」
マキ「えへへ♪今日も楽しかったよ♪」
華南「まぁ、お前はむつが怒るの楽しんでるもんな」
マキ「うん♪、むつ君表情豊かだから楽しい♪」
華南「からかってばっかいるといつか本当の喧嘩になっちまうぜ。むつは本気で怒ったら結構めんどくせーぞ」
マキ「…ふふ♪知ってる♪、むつ君頑固で一直線だから、あの時ばかりは勝てないな♪」
華南「ははっ…、マキでも勝てないか」
むつは馬鹿で天然だけど、根本は見失わない、柵に惑わされない、だから本気で怒ったむつを誤魔化したりは出来ない。真っ直ぐで、真っ直ぐすぎて相手の嘘の壁をぶっ壊す。
マキ「……ね…ぇ、華南…」
華南「ん?」
呼ばれてマキの顔を見たら、マキはホワイトライオンをぎゅっと抱きしめて、ホワイトライオンとマキとの両方でつぶらな瞳をして可愛らしく俺を見上げてた。
ぐっ…、百目鬼さんは…こんなマキと毎日一緒とかめっちゃ大変だな…、俺なら、駅前でこんだけ人がいても、この場でキスしてーもん…。
マキ「ふふ♪、欲求不満で仕方ないって顔だね♪修二とむつとラブラブな癖に、無駄に溜め込んで馬鹿だね華南は♪」
華南「はっ!?、いや欲求不満じゃねぇよ」
マキ「ウソウソ、ずっと愛され欲求不満な顔してる」
!!!…。
やっぱ…マキにはバレバレか…
華南「愛され欲求不満はお前だろ。毎回毎回もっと百目鬼さんと一緒に居てーってウルウルした目ぇしてる癖に」
マキ「にゃはは♪、華南もね♪。百目鬼さんは大人だから仕方ないんだよ♪」
華南「よく言うよ。良い子ぶってねぇで素直に甘えりゃ良いのに、百目鬼さんなら喜んで縛って離さないだろうに。マキこそ溜め込んで我慢してんだろ。そのホワイトライオン。百目鬼さんの香水ちょっと付けてるだろ」
マキ「・・・……キャ♪」
華南「百目鬼さんは知ってるのか?知ってたらホワイトライオン抱えてる〝馬鹿可愛らしい〟マキなんか外にださねぇーだろうけど」
マキ「ウフフ♪、華南、少し僕と歩こうか、デートしよっか♪♪」
華南「…。百目鬼さん泣いちゃうぞ」
マキ「ふふ♪僕の秘密を握られちゃったから、口止め料払わせて♪」
いや、百目鬼さんにわざわざ言うつもりは無いけど、秘密を握られたのは、どっちかってーと、俺の方だよな。
マキが俺の考えに勘付いてたのは知ってた…
マキは、もう見逃す気は無いって言いたいんだ。
マキ「んふ♪」
マキ様は何でもお見通し…
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