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アルバム絵本
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神さんのアルバムを見てると、ほんわりふわふわ柔らかくて擽ったい気持ちになって、心の中に生まれるものがほこほこふんわり温かい。
神さんのアルバムの中に、温かい愛情が込められた写真が何枚もある。
その、一枚一枚に思い出があり物語がある。
神さんが生まれた時の写真、お父さんとお母さんに抱かれて幸せそう。
赤ちゃんの百目鬼さんの写真はいっぱいあってどれも可愛くて、愛された成長過程が記録されてた。
初めての寝返り、初めてのお座り、初めての立っち。
だけど、家族三人の写真は減っていく
幼稚園、小学校、お母さんとおばあちゃんおじいちゃんとばかり映る写真。
中学生、百目鬼さんはムスッとして嫌そうに写真に映り、彼の横にはお父さんが写ってるけど、お母さんがいなくなった。
そこから写真は減って、高校生の百目鬼さんは金髪で優しそうなおばあちゃんと写ってて、百目鬼さんは困ったようにムスッとしてた。
おばあちゃんは優しそうな人で、おじいちゃんは穏やかそうな人。
そして高校生2年の百目鬼さんの周りには、新しい義母とその義兄弟たちが増え、戸惑った表情の百目鬼さんを真ん中にみんな緊張した表情で笑って写ってた。
そこから百目鬼さんの写真は、家族のイベント事の家族写真以外無くなって、成人式を最後に空白の時間が流れる。
この時、奏一さんへの恋心を爆発させた百目鬼さんが、修二と一緒にいた期間なのだろう。
空白の後の始まりは、病院のベッドの上の百目鬼さんと、その周りには義母と義兄弟の姿。
みんな神さんを心配してお見舞いに来てくれたんだろう、末の子は、ベッドの神さんにしがみついて泣いていた。神さんは、どうしたらいいか分からないと困ってる顔で眉間にシワが寄りまくって、まるで睨んでるみたいに険しくなってた。
そして、その眉間のシワは、義母と義兄弟と写真に写るたびに、少しづつ減っていく。
家族の新しい思い出。
強面の神さんの周りに笑顔が溢れてる。
神さん自身はどうしたらいいか分からないって顔してるけど、他の義兄弟たちは気にしてない。
義兄弟の結婚式。
義兄弟の妊娠。
姪っ子や甥っ子の誕生。
神さんは手の中で息づく小さな命を壊してしまいそうだと怯えながら抱っこして。
泣いてる赤ん坊を睨み下ろして困り果てながらオムツを替えてたり。
成長した姪っ子や甥っ子から貰った落書きみたいなお手紙を大事に取ってあったり。
新しい家族と、おじいちゃんおばあちゃん達に囲まれてた。
凶暴な神さんの心の中にある、優しくて面倒見の良い心配性は、こうして神さんの中に根付いたんだと思うと、思わず笑顔が溢れてきちゃう。
素敵なアルバム。
だから僕は、何度でも見たい。
そして、写真の中の語らない眉間のシワを知りたい。
何度でも何度でも話して欲しい。
長い長い神さんの生きてきた道を…
僕の知らない神さんを…
僕もいつか…
こうしてアルバムを埋めたい…
そしたらきっと神さんと…………
百目鬼『20歳になったら、お前を攫う』
来年の2月29日の閏年
僕は20歳になる………
********************
百目鬼「マキ、大丈夫か?」
頭を撫でられて目を開けると、大好きな神さんの顔。
マキ「…はよ…、ん、へぇき……」
まどろむ僕の腕の中には、百目鬼サンタがくれたホワイトライオン。
ぬくぬくの温かい毛布に包まって寝て、いつの間にか朝が来てた。
神さんは先に起きてたみたいで、もう普段着に着替えてて、髪もセット済み。
百目鬼「買い物に行くけど一緒に来るか?」
マキ「……。デート♪」
眠気が覚めるような言葉に、僕はベッドから飛び起きた。
百目鬼「買い物だ。明日から商店街は閉まっちまうから、今のうちに買い込まないと」
マキ「えへへ♪デートデート♪」
百目鬼「……、オイ、お前は何をやってる」
張り切って着替え始めたら、神さんの強い声が飛んできて、僕は洋服を着ながらニッコリ答えた。
マキ「えへ♪デート用のお洋服着てるの♪」
百目鬼「お前、それ、……スカートだろうが」
神さんは、僕のスカート姿がお気に召さなかったみたいで睨んできた。
でもでも、近所にお買い物だと神さん手を繋いでくれないから…
マキ「だってぇ、イチャイチャしたいもん♪」
百目鬼「イチャイチャって、…今朝まで散々イチャイチャしただろうが」
マキ「それとこれとは別だもん♪女装なら手を繋いでも平気でしょ♪良いじゃん良いじゃん♪」
百目鬼「よくない」
マキ「えー、だってぇ、手繋いでデートしたいんだもん…」
百目鬼「だから、買い物だって」
マキ「………」
百目鬼「ぐッ………」
マキ「………」
百目鬼「……分かった、好きにしろ」
マキ「神さん大好き♪♪」
神さんを困らせちゃだめだって分かってるけど、困ったように寄せられる眉間のシワが可愛くて、ついつい困らせることを言っちゃう。
クリスマスにお休みが取れなかったの気にして優しくしてくれる神さんに漬け込んで、我儘ばかり言っちゃう僕。
大好きな大好きな神さん、好きだから大事にしたい、それは僕も同じ。だけど、好きすぎて溢れるこの気持ちを、僕自身どう扱って良いかわからない。
我儘を言えっていう神さん。
僕はこんなに我儘で、神さんを困らせた甘えた事ばかり言うのに、どうしたら良いのかな。
もう直ぐ、僕たちが付き合って1年になりそうだから、僕は無駄にソワソワしてる。
神さんもそんな風に感じてるかな?
僕たちが写真を撮り始めたのは最近だから、アルバムは埋まらないけど、1年って凄いことだよね、だっていっぱいいろんな事があったもんね。
心のアルバム1冊分位にはなったかな?
神さんの中の思い出に、僕も加わったかな?
1年が終わる。
年越しって、ただ次の年を迎えるイベント位にしか思わなかったのに、なんだか今年はソワソワしちゃう。
神さんと一緒に年越しって思うだけで
なんか新しい事が始まるみたいな
なんか特別な1年が終わって
特別な新年を迎えるような
ずっとソワソワソワソワ落ち着かない
来年、僕は20歳になる。
神さんが攫ってくれると約束をくれた。
だからこんな気持ちになるのかな。
早く来て欲しいような
まだ心の準備が出来てないような…
百目鬼「支度できたか」
マキ「あっ、…今、今行くね」
百目鬼「ちゃんと待ってるから慌てるな」
マキ「えへへ♪神さん優しい♪大好き♪」
百目鬼「…、お前、ちょっと言い過ぎだぞ」
マキ「ん?何が?神さんが可愛いこと?」
百目鬼「違う!」
マキ「えへへ♪良いじゃん♪本当の事だもん♪大大大好きなんだもーん♪」
百目鬼「阿保!買い物に行くって言ってんだろ!行けなくなったらお前のせいだからな」
マキ「へ?…」
百目鬼「分かったら一回黙れ、フン」
マキ「………」
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