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アルバム絵本
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奏一さんは、カッコ良くてクールで厳しくて、でもその数十倍優しくて温かい人。綺麗で端正な顔立ちなのに腕っ節も強いけど、ビックリするぐらいキレやすくて、奏一さんが怒ったら、百目鬼さんより怖い。
家族思いで、弟の修二を溺愛してて、過保護で厳しい。弟の修二はそんな兄の奏一さんが大好きで、もちろんみんなも奏一さんが大好きで、誰にも慕われてて、こんな存在の大きい人がいるんだってびっくりした。
魔性マキ様と呼ばれてる僕も、奏一さんの前では、ただの男の子。
奏一さんはいつも大きくて、懐が広くて、優しくて、でも約束を破るのと嘘が大嫌いで凄く厳しいけど、そんな完璧な奏一さんにも、可愛いところがある。
とにかく、お酒に弱い。
酔うと修二大好きが爆発する。
そして、エッチな話にすっごい弱い。
モテまくりで経験豊富そうなのに…
とまぁ、可愛らしい一面のある奏一さんなんだけど。とにかく、怒らせたら百目鬼さんでも止められないから奏一さんだけは怒らせちゃいけない。
やっちゃいけないのは、
〝約束を破る事、嘘をつく事〟
僕の目の前には、以前見た事ある奏一さんの青いスマートな車ではなく、真っ白な30系セ○シオ。
運転席には、いかにも朱雀の仲間ですって感じのツンツン頭で茶髪の、スラッと細身だけど服の上からでも分かる筋肉の持ち主がいて。
後部座席から、目の座った奏一さんがスーツ姿で現れた。
奏一「マキ、あけましておめでとう。迎えに来たよ」
にっこり爽やかに微笑む奏一さんの瞳は、完全に僕をロックオンしてる。
そう、とにかく、奏一さんだけは、怒らせちゃいけない。
マキ「えっ…と、あけましておめでとうございます…、奏一さん…」
奏一さんを怒らせると、百目鬼さんですら敵わないし、一緒に怒る人達がいるから…
マキ「…と、修二」
修二「マキごめんね、兄貴酔ってて、でもマキが悪いんだよ、嘘なんかつくから」
デスよねぇー。
マキ「ごめんなさい。…そちらは奏一さんのお友達?」
奏一「ああ、こいつは高霧(たかきり)朱雀の後輩で、俺が酒飲んでるから運転してもらった。高霧、挨拶しろ」
僕が電話で嘘ついたのを怒ってるのか、奏一さんは低い声でそういうと、運転席の人に声をかける。運転席の人はペコリと頭を下げ、僕の方を興味津々に見ながら自己紹介してきた。
緋色「初めまして、高霧緋色(たかきりひいろ)です」
マキ「初めまして、マキです」
僕がニコッと微笑むと、緋色は運転席から身を乗り出してニヤッと笑った。
緋色「奏一さん、彼女さんすっごい美人で可愛いですね」
奏一「かッ!?彼女!?」
緋色「照れない照れない、電話来て直ぐ飛んで来たじゃないですか」
奏一「彼女じゃない!」
緋色「えー、でも奏一さん顔真っ赤ですよぉー」
奏一「馬鹿ッ!これは酒のせいだ!この子は修二の友達で男の子だ!」
緋色「エッ!?」
緋色は目ん玉飛び出るくらい驚いて僕をジロジロ見てたけど、女の子に間違われるのは日常茶飯事なので、こんなやりとりもいつもの事。
奏一「マキ、おいで」
マキ「えっと、キングも連れてっていい?」
奏一「ああ、連れておいで」
奏一さんに速されて、キングを急いで連れてきた。ミケは、お出かけが嫌いでお家で自由にしてるのが好きなので、餌を置いておいた。
車の後部座席に乗り込むと、緋色さんは後ろを振り向きまじまじと僕を観察した。
僕がニコニコしてると、奏一さんが怒ったように緋色さんを叱って前を向かせ、車は走り出しす。
車の中で、僕は奏一さんと修二に挟まれ、運転手の緋色さんにバックミラーでチラチラ見られてた。
そうだ。百目鬼さんに連絡しなきゃ。でも、運転手の緋色さんが朱雀関係なら百目鬼さんの名前は出さない方がいいだろうし、でも、メールで連絡したら直ぐに電話かかってきそうだなぁ…
うーん…
でも、奏一さんと一緒だって言えば、百目鬼さんも察してくれるかな?
…百目鬼さん、鋭い時もあるのに鈍い時は鈍いからなぁ…
ちょっと不安になりながら、百目鬼さんに奏一さんと修二達と一緒に居るってメールしたら、10秒後に奏一さんの携帯が鳴り出した。
奏一「はい」
不機嫌そうな奏一さんの声色。あれ、絶対百目鬼さんからだ。
奏一「ああ、そうだ、俺たちと一緒だよ。俺ん所に連れて行く」
『・・・!!』
奏一「吠えるな煩い。飲んでるが酔ってない」
『・・・!!』
奏一「お前は親孝行してろ!こっちはこっちでやるから、2、3日そっちに居りゃいいだろ、聞いてるぞ、去年も一昨年もろくに顔出してないらしいじゃないか。…あー煩い、学生時代に爺さん婆さんに迷惑かけたんだからその分親孝行するのが筋だろ、こっちはこっちで2、3日帰さないから、じゃあな」
電話から漏れ聞こえる百目鬼さんの怒鳴り声を物ともせず、奏一さんは静かに携帯をブツッと切ってしまった。
…。
えっと…、もしかして、僕の2泊3日のお泊りが決定しちゃったのかな?
ぱちくりしながら奏一さんを見上げると、奏一さんは僕の視線に気がついて、フッと笑いながら僕の頭を優しく撫でた。
奏一「心配ないよ」
何の意味の心配ないよ、なのか。奏一さんは色々と察してそうで、どの意味も含んでそうで怖い。
奏一さんは、僕の事情をどこまで知ってるんだろう?
でも少なくとも、今回こうやって連れ出しに来たんだから、僕が実家に帰れない事情は知ってそうだ。
困ったなぁ。そうゆうの苦手なんだよなぁ…
同情は好きじゃない、可哀想だと思われるのなんかすごく嫌だ。
でも…、奏一さんや修二と一緒居られるのは、嬉しい気持ちもある。
百目鬼さんを自分で実家に送り出したのに、百目鬼さんの部屋で一人でいるのは寂しかった。
百目鬼さんが家族と仲良しなのは嬉しい、百目鬼さんにもっと家族と仲良くしてもらいたい、そのはずなのに、家に一人になった瞬間寂しくなっちゃった…
おかしいな…
…百目鬼さん…僕が奏一さん達と居て怒ったかなぁ…
僕の心配をよそに、車は奏一さんと修二の実家に着いた。
実家のアパートの前には、バイクがズラッと並んでてビックリした。
奏一さんは、バイクを見て、「また、あいつら…」とボヤいて先に家に向かい、修二も酔ってる奏一さんが心配なのか着いて行った。
どうやら、毎年昔の朱雀の仲間達が新年の挨拶に来てるらしい。そして毎年、バイクの渋滞で奏一さんが怒ってるらしい。
僕は、荷物とケースに入ったキングを持って行こうとしたら、緋色さんが側にやってきた、彼は僕より少し身長が高く、紺色のスーツを来ていて、何かスポーツやってたのか、今もやってるのか、肩幅があってスーツはパツパツ、とにかく見た目はスマートなのに、スーツの上からでも分かるほど見るからに強そう。緋色さんは僕の手荷物をスッと持ってくれた。
緋色「持ちますよ」
見た目はスポーツマンって感じなのに、笑ったその笑顔は、随分優しく爽やか。
マキ「あっ、ありがとうございます。大丈夫です」
持ってくれた荷物を貰おうとしても、緋色さんは荷物を握ったまま、僕をじっと見つめて言った。
緋色「うわー、目の前まで来てもわかんねぇー」
男だと分からないって意味だって直ぐに分かって、ニッコリ笑ったら、緋色さんは手荷物を握ってる僕の手を握ってきた。
緋色「顔立ち綺麗だね、ハーフ?」
緋色さんは興味深々って感じだけど、その興味に不快感はないし、邪なものも感じない、男に興味がある訳でも同族でもなさそうだし、興味本位って感じもしない、と、言うより、もっと違うキラキラした何かを感じる。
マキ「クオーターです」
緋色「うわー、まつ毛長、めっちゃ色白、指とか凄く綺麗だね、ピアノ習ってた人?」
緋色さんが僕の手を取って僕の指に触れてきた。
彼の肌は健康的でちょっと色黒なのか、僕の色白の肌との差が凄く目立ち立てた。
マキ「習ってましたよ」
緋色「修二君の友達なら大学生?」
マキ「はい、僕は大学一年…」
答え終わる前に、緋色はキラキラした瞳で僕の手を握りしめる。
緋色「冬休みはいつまで?空いてる日ある?」
マキ「えっ?」
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