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アルバム絵本
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唐突なお誘いと握りしめられた手からは、不思議と下心を感じず、むしろ輝くほどの綺麗な瞳に少し驚いた。
緋色「俺はいつでも都合つくから、時間ある日ある?」
マキ「えっ、と、〝俺〟男ですよ」
ニッコリ強調して返したけど、緋色さんは当たり前のように素直な顔で続けた。
緋色「うん。…あっ、連絡先教えてよ」
天然?
と思うには、その瞳は意思をはっきり持って真っ直ぐだ。
緋色「…あっ、めっちゃ笑顔だけど、めっちゃ警戒してる感じ?俺、怪しい奴じゃないよ、君があまりに綺麗だったから…」
ーゴンッ!!!
突然の鈍い音、衝撃でお星様が散ってた。僕の前から緋色さんが消え、突然のことに驚いてたら、緋色さんの代わりに僕の前に、拳骨握った奏一さんが現れた。
奏一さんの鉄拳が、緋色さんの後頭部を直撃、緋色さんは疼くまってた。
緋色「痛ッてー!!奏一さんなんで殴るんですか!!」
奏一「お前は何やってんだ!」
緋色を睨み下ろす奏一さんに、緋色さんは悪びれず頭を抱えて言い返す。
緋色「超絶美人と出会ったのに連絡先交換しないとかないでしょ」
奏一「アホ!この子は男の子だって言ってんだろ」
怒鳴る奏一さんを、後ろからきた修二が「近所迷惑だから」と止めに入った。
怒ってた奏一さんは、修二が視界に入った途端酔いが覚めたのか、消沈して修二に謝る。
多分、修二を見て、自分の言葉が怖くなったんだろう。
奏一さんは、男と付き合ってる修二を、ゲイである修二を傷つけることを酷く恐れてる。
修二「もぉ、飲みすぎなんだよ兄貴は」
奏一「ごめん」
奏一さんを止められる人が一人だけいた。
溺愛する弟の修二。
修二「緋色さん、マキは本当に男の子だし恋人いるから」
緋色「いや、疑ってないよ。友達になりたくて」
修二「マキの恋人はすっごい束縛して嫉妬深いから」
緋色「うわっ、めっちゃ怪しまれてる?違う違う、本当に友達になりたいんだよ、理想が目の前にあったら飛びつくでしょ」
修二の優しい口調なのに鋭く言われて察した緋色さんが両手をブンブン振って否定したけど、どうも口から出てる言葉は怪しさを増して、修二と奏一さん2人から更に睨まれてしまう緋色さん。
奏一「緋色、お前、去年年上の女と付き合ってなかったか?」
緋色「え?別れましたよ…。え?えー!違う違う」
緋色さんはやっぱり察しのいい人みたいで、奏一さんの言わんとすることが分かったみたい、またまたブンブン両手を振って否定した。
緋色「本当に友達に…、ってかモデル、モデルになってもらいたかっただけなんですよ」
奏一「モデル?」
緋色「えー!、忘れちゃったんですかぁ、絵ですよ。俺美大卒で絵やってんの知ってますよね!?」
奏一「あぁ…、そうか…」
美大卒!?
ちょっとやんちゃな見た目に筋肉モリモリだから、美大って聞いて驚いた。
まぁ確かに、外観と違って緋色さんの瞳から受ける印象は随分穏やかで優しそうな感じだし、笑顔も柔らかい。
緋色「マキ君がイメージピッタリだったから」
奏一「コンクールに出す作品悩んでたんだったな」
緋色「そうですよぉ、人を獣みたいに言わないでください。俺は純粋にモデルをお願いしたくて…。まぁ、確かに美しいものは好きだし、綺麗なら男女あんま関係ないですけどね…。初恋なんかダビデ像でしたしw」
…。
奏一「…緋色、ちょっと来い」
緋色「えっ、奏一さんめっちゃ怒ってる!違います、違いますよ!奏一さん!」
首根っこ掴まれてズルズル引きずられていく緋色さんをただただ見送る僕と修二。
緋色さんて…天然おバカちゃんなんだろうか…?
修二「マキ、なんかごめんね」
マキ「え、ううん。女の子に間違われたり絡まれたりはよくあるけど、ああいうの初めてだからちょっと分析してただけ、んふ♪」
修二「緋色さん、ああ見えて頭いいんだよ」
僕の視線から僕の考えが分かっちゃったのか、修二がおバカちゃん説を否定。
マキ「ふーん。変わり者ってこと?」
修二「独特って言った方がいいかな?癖はあるけど、すごく優しい人だし、察しもいいから色々気遣ってくれてて、兄貴も僕も付き合い長いし」
マキ「そうなんだ」
修二「昔、僕もモデルにされそうになった事あるよ。その時は兄貴が絶対許さなかったけどね」
マキ「…だろうね。奏一さん、そういう面では百目鬼さんに負けず劣らず過保護だからね」
修二「…、マキ。緋色さんの前で恋人が誰か言わない方が…」
マキ「だろうね。彼は詳しいの?」
百目鬼さんは以前、修二を監禁して強姦。助けにきた奏一さんに半殺しにされた過去がある。
そして2人が所属してた朱雀では、百目鬼さんと奏一さんが揉めて、百目鬼さんが奏一さんの弟の修二をリンチしたという事になっていて。当時を知る朱雀のメンバーと、それを聞かされてる朱雀の後輩全てから、百目鬼さんは恨まれてる。
修二「…、多分詳しくはないと思う…けど、僕を助けに来た時、兄貴意外に2、3人居たんだ。1人は谷崎先生だけど、後の人は薬で朦朧としてて僕ちゃん覚えてないし、見た側もわざわざ知ってますとは僕には言ってこない。兄貴が口止めしてるだろうしね」
マキ「でも、そこにいたかもしれないほど、奏一さんに近しい人ってことなんだね、あの人、高霧緋色さん、は」
修二「うん」
なら、もう、接触しない方が良いな…
やっと落ち着いた百目鬼さんの妨げに…
修二「あの…マキ」
マキ「ん?」
修二「兄貴がなんとかしてくれると思うけど、注意してて。緋色さん、結構しつこいから」
マキ「ふふ♪大丈夫だよ修二、相手はこの僕だよ」
修二「そうやって自信満々に迎え撃たないでよ、余計心配だよ」
マキ「心配ないよ、お行儀悪い子はしつけ直すだけだから♪」
修二「…あぁ…、そんなんだから百目鬼さん怒るんじゃん」
マキ「大丈夫大丈夫、バレないようにササっと片付けるから♪」
修二「……全然大丈夫じゃない…」
心配性だな修二は♪
確かに緋色さんは変わってるけど、危険臭はしないし。同類じゃないみたいだし、彫刻好きならなおさらいきなり男好きにはならないと思うんだよね、まぁ、なりそうになったら現実見せてあげれば幻滅するだろうし♪。
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