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アルバム絵本
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修二は、奏一さんがみんなから好かれて尊敬されるのを喜びながら、その中に男の人がいるのを少し戸惑って困ったように笑った。
苦労人の奏一さんには、穏やかで幸せな日々を送ってほしい修二にとっては、過去のトラウマを刺激して欲しくないんだろう。
…見た感じ、夏さんはいい感じそうだけど…、修二と奏一さんのお母さんとも仲良く喋ってるし…、何度か会ってるんだろうな…。起きた奏一さんと喋ってるところを見ないとなんとも言えないな…。
…その点、羚凰さんは忠犬感が凄いけど…、どうなんだろう、どこまで〝本気〟なのかな、犬の場合、思い込みも結構あるからなぁ…。でもさっき、夏さんに対して『夏さん女だから勝ち譲ったのに』って言ってなかった?…ってことは、奏一さんは夏さんと付き合ってるの?
…でも、それなら修二が知らないわけないだろうし…ってか、奏一さんが恋愛出来ない?…それはないと思うけどな…。まぁ、SEXは出来なくなってるかもだけど。
僕と会ったばかりの時の奏一さんは、精神的にかなりキてだからなぁ…
修二「兄貴、兄貴、夏さんたち来てくれたんだよ」
奏一「…」
あらら…、奏一さん完全ダウン?
修二「兄貴」
夏「修二君、無理に起こさなくていいよ。奏一さん年末忙しくて寝不足だし、こうなると思ってたから」
修二「ごめんなさい夏さん…」
夏「謝らないで、むしろ良かったよ、やっと寝てくれて、お酒の力でも借りないと、奏一さん全然休んでくれないから」
困った顔して苦笑いした夏さん。
どうやら、百目鬼さんみたいな仕事人間はココにもいたみたい。でも奏一さんの場合、仕事ばかりじゃないんだろう。百目鬼さんより器用な人だから、いろんなこと詰め込んで、仕事に家族に仲間にって…
羚凰「休んでくれるのはいいけど…、俺が来る前に潰さなくてもよくない?ズルいよヒーロさぁーん」
緋色「相変わらずワンワン煩いなぁ羚凰は。しょうがないだろ、マキ君口説きたいのに奏一さん邪魔すんだもん」
羚凰「はぁ?くど…って、ダメっすよマキちゃん口説いちゃ!ダメに決まってんじゃん」
緋色「なんで羚凰が怒るんだよ」
羚凰「奏一さんが修二並に大事にしてんのに、ヒーロさんみたいな変態に…」
ヒュッ!!
羚凰さんの目の前に、空気を切って飛んできた拳が横切り、緋色さんがニッコリ笑う。
緋色「俺が、ナニ?w」
羚凰「ッ…、緋色さん、凶器を振り回すのやめて下さい…」
緋色「凶器じゃないよぉーw」
羚凰「いやいや。ニコニコしながらボクシングしてた人が拳振り回したら凶器でしょうが」
緋色「いやー、なんか急に身体動かしたくなってねぇー」
…ふーん。あの肩の筋肉はボクシングやってたからなんだ…。ってか、ボクシングやって、絵の仕事って凄い意外な感じ…。奏一さんの側にいるって事は、かなり信頼されてて強いんだろうとは思ったけど…
緋色「それより羚凰、奏一さん潰れたんだから、アレ見放題じゃない?」
羚凰「!?。そうだ!!」
アレ見放題?
羚凰さんはすぐに修二の所に飛んでいき、大きな尻尾をブンブン振って拝み倒し、その勢いに、修二が仕方ないなぁって奥から持ってきた物に、羚凰さんは涎を垂らさんばかりに噛り付いた。
マキ「…見放題って…」
修二「あぁ…、兄貴のアルバムだよ」
羚凰さんが喜んで見てるのは、奏一さんのアルバム。
そこには産まれたばかりの奏一さんから小学校低学年くらいまでの奏一さんがぎっしり。
マキ「わぁ、奏一さんって小さい頃は可愛らしい顔してたんだね」
修二「兄貴は母さん似だから、良く女の子と間違われたよ」
マキ「そうだよね、奏一さんかっこいいけど綺麗な顔してるもんね」
アルバムの中の奏一さんは、お母さんと一緒に写ってるものが多かった。お母さんに愛情いっぱい注いで育ったのが良く分かる。
そして、奏一さんが小学校に入学し終わった後、弟の修二が産まれると、そっからはずーっと修二にベッタリの写真ばかり。
羚凰「あぁ…修二になりたい…」
緋色「羚凰じゃ無理だな、お前美しくないもん」
羚凰「ッ、変態芸術オタク…」
緋色「レーオーンくーん?」
奏一さんの寝てる間に、みんなで奏一さんのアルバムを賑やかに堪能してた。
…後で怒られそう…
そうして、ワイワイ見ながら、僕の見た事ある写真にたどり着く。修二の小学校入学式。そして写真の中の2人はどんどん成長して…、ぎっしり詰まっていた写真が、あるページを境にスカスカになっていった。
それは丁度、修二が中学生上がる頃…
そこにあったはずの写真が抜き取られてポッカリ空いていた。
……あれは…、多分百目鬼さんが映ってたんだろうな…
羚凰「あーあ、もっと早く奏一さんと会いたかったな、ってか、この頃の奏一さんと会いたかったなぁ」
羚凰さんがそう言いながら眺めていたのは、奏一さんの高校卒業式の写真。
学ランを着た奏一さんはいかにもヤンチャしてますって感じの仲間と一緒に写ってた。
羚凰「同い年とかだったら、こんな子供扱いされなくて済んだのに…」
緋色「羚凰、お前は同い年だとしても奏一さんに子供扱いされてるぞ」
羚凰「えっ!?なんで!?」
…僕もそう思う…。
羚凰「俺結構強いんすよ!頭だって悪くないし!」
緋色「お前が奏一さんと同い年だったとしても、奏一さんと肩並べるのは無理だな、羚凰、お前が知ってる奏一さんはだいぶ丸くなってからの奏一さんだ、当時の奏一さんはめちゃめちゃ荒々しくて強かったんだからな」
羚凰「知ってますよ!奏一さんの武勇伝なら…」
緋色「ハハッw、そんな綺麗なおとぎ話じゃないんだぞ。奏一さんは圧倒的に強かったし、羚凰ぐらいの強さならゴロゴロいた」
羚凰「そりゃヒーロさんには負けるかもしれないけど…」
緋色「バーカ、俺に負けるならお前なんか同級生に居ても相手にもされないぞ、奏一さんは俺なんかより遥かに強いんだから」
羚凰「え…、ヒーロさんが?全然敵わないの?」
緋色「あぁ、俺なんか全然だよ。一度火が点いた奏一さんを止められる人は2人しか居なかったからなぁ、総長と……」
羚凰「……」
緋色「フッ…。まぁ、俺も思った事あるけどな、奏一さんと同い年だったらって…、もっと早く出会ってたらって…」
緋色さんが呑み込んだ名前。
それはきっと百目鬼さんの事だ…
緋色さんも羚凰さんも、一瞬もの凄い目をした。
それだけ元朱雀の彼らにとって、百目鬼さんは凄く憎い相手…
夏「会ったのが、今の奏一さんで良かったんじゃない」
突然、夏さんが投げかけた言葉に、全員の視線が集まった。
夏「奏一さん言ってましたよ、みんなとお店をやれて楽しいって、そんな腕っ節がどうのなんて物騒な話自慢しても何にもならないよ。今出会ったから今の関係があるんでしょ、みんな奏一さんに大事にされてるのに不満なの?」
…夏さんはあっさりとした感じでそういうと、ニッと笑う。
その言葉に一番最初に飛びついたのは羚凰さん。
羚凰「不満なんてないし!」
夏「ならいいじゃん、奏一さん言ってたよ、最近の羚凰は良くやってるって」
羚凰「マジ?!ヨッシャ!!」
夏「だから、アルバムはもうしまおうね」
羚凰「ウイース!」
…羚凰さん、めっちゃ子供…
夏「じゃあ、修二君、私たちそろそろ帰るね。奏一さんにゆっくり休んでもらって」
羚凰「えー!もぉ帰るんすか!俺まだ奏一さんとイチャイチャしてないのにー!」
夏「店で人一倍イチャついてるでしょうが。奏一さん休ませてあげないと倒れちゃってもいいの?」
羚凰「嫌だ!ッ、俺帰ります!」
夏「だから、アルバムは置いていきなさいよ」
羚凰「嫌だ!まだ堪能してない」
夏「……駄々っ子?だから子供扱いされるのよ」
羚凰「いーやーだー、返すから許して夏さぁーん」
…何この人、面白い。
こうして、夏さんと矢吹さんに連れられて、忠犬羚凰さんは泣く泣く帰っていった。
緋色「じゃぁ、俺もそろそろ帰るかな」
修二「緋色さん、今日はありがとう」
緋色「俺こそ、ありがとう修二、ご馳走になりました」
修二「気をつけて帰ってね」
緋色「サンキュー。あっ、マキ君もまたねw、今度電気屋さんにデートに行こうねw」
マキ「ふふっ、緋色さんが色々教えてくれたから大丈夫です♪」
緋色「遠慮しないで、すぐ連絡するから」
マキ「遠慮なんかしてません♪遠回しなお断りですよ♪」
緋色「あははw、じゃあめげずにアタックするわw今日はこの辺で、おやすみーw」
…マジしつこい。
修二「ご、ごめんねマキ」
マキ「うふふ♪、面白い人達だったね♪楽しかったよ♪」
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