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アルバム絵本
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色々驚きすぎて慌てそうな思考。
だけど、電話してる奏一さんがイライラしてるのと、緋色さんのお兄さんのタカさんがなんだか申し訳なさそうに不安げにしているのを見て冷静になった。
だって…、なんか気になることが多すぎる。
タカさん雇ったとか知らないけど、タカさんの態度はなんだか…
だいたい、百目鬼さんがよく知らない人間を奏一さんや修二に近づけないと思うんだよ。うん。
だけど、気になるのは、タカさんの言った、〝俺の顔なんか見たくないだろうと…〟ってとこ。
奏一さんに嫌われてると思ってるっぽいタカさん。だけど、奏一さんは、家の前にいるのがタカさんだと分かっても嫌そうにはしてなかった。
奏一さんが嫌そうにしたのは、〝あの人にお願いされて〟って、タカさんが、百目鬼さんにお願いされて僕を迎えに来たとわかった瞬間。
さて、ここで気になるのが、奏一さんが何にイラついたのか。
百目鬼さんが、直接迎えに来ないで、奏一さんに過去の出来事から遠慮してるのが気に入らなかったのか…。
それとも、タカさんが百目鬼さん側に付いたことか?
百目鬼さん側と奏一さん側で揺れる立場?
でも、奏一さんは何も気にしてない風に話しかけた。ってことは、朱雀時代は奏一さん側の人間だった?でも、〝俺の顔は見たくないだろうと…〟ってことは、タカさんが百目鬼さん側についたから奏一さんが怒った?
でも、タカさんの年齢から考えて、百目鬼さんが朱雀にいた時と被ってるのはそう長くないと思うんだよね…。
となると、百目鬼さんが最後に修二に手を出して奏一さんと揉めた時?
確か、朱雀の中では、百目鬼さんが奏一さんと仲違いして、怒った百目鬼さんが修二をリンチしたって話になってるんだよね…
…………。
まさか…、タカさん…、現場に居た人の1人だったとかないよね…。
修二を…輪姦した中の1人じゃ……
………。
思考が思わぬ方にいって、不信感たっぷりの目でタカさんを見てしまった。
タカさんは敏感に感じ取ったみたいで、困ったようにしながら、信頼されようと優しげに笑顔を作る。
タカ「…、ごめんね。奏一さんが電話し終わったら、マキさんもあの人に確認の電話してくれて構わないよ。いきなりじゃびっくりしちゃうよね」
彼の言葉に嘘があるとは思わないし、悪い人には見えない。
人の良さそうな、真っ当な人って印象。
…修二をってのは考えすぎか…、百目鬼さんが、修二に危害を加えた人間を修二に近づけるわけないか…。
じゃあ、タカさんと奏一さんの間に何が??
奏一「マキ!、タカ!」
電話が終わったのか、奏一さんが不機嫌に僕とタカさんを呼ぶと、タカさんはビクッとして、申し訳なさそうに目を伏せる。
奏一さんは、タカさんの反応に気がついて、困った顔をしながら大きく溜息つくと、修二に家に入るように言い渡した。
修二は察しがいいから、タカさんと奏一さんの空気を感じ取り、何も聞かずに1人で家の中に入る。
それを見届けて、奏一さんは僕とタカさんを、近くの公園に連れて行った。
公園には、砂場とコンクリートの汽車があるこじんまりした場所。正月だからか子供達の姿はなく、居るのは僕たちだけ。
奏一さんは改まってタカさんと向き合うと、頭をかきながら困ったように話し出した。
奏一「タカ…」
タカ「はい!」
奏一「そう怯えるな、俺は怒ってないし、お前の顔を見たくないとも思ってないよ」
タカさんが、びっくりしたようで、困惑気味な瞳で奏一さんと僕を見た。僕がいるのに話をしていいのか心配している様子だった。
その視線の意味を感じ取った奏一さんが一言付け加える。
奏一「マキは知ってるから」
タカさんは、奏一さんのその一言にすごく驚いて戸惑う。
…ってか、百目鬼さんは、タカさんに僕との関係を話してるんだろうか?
…あぁ、タカさん見たのか…、百目鬼さんが僕に別れるって言ったのも、僕が醜態晒して号泣したのも…。
奏一「俺は、タカのこと、感謝はしても起こるなんてありえない」
怒ってないって言われても、その言葉を信じてないって感じでタカさんは動揺を隠せない。
タカ「でも!」
奏一「でもじゃない、俺がそうじゃないって言ってんだからそれ以外ない」
キッパリ言い切る奏一さんの瞳は真っ直ぐで。
嘘じゃないと分かった。きっとタカさんもそれはわかったんだろうけど、何かを怖がってる。
奏一「さっきのは、あいつがヘタレだからイラッとしただけだ」
タカ「…いえ、ヘタレじゃなくて、あの人は奏一さんに、なるべく不快がないようにと気遣って…」
奏一「それが不快だ!、こっちは割り切って行こうとしてんのに、グジグジと…。過去は過去、今は今だ!」
タカ「えっ…、じゃあ、奏一さんはあの人を許し…」
奏一「許さねーよ」
タカ「ッ…」
あーあ、タカさん完全に固まっちゃったよ…。
言っちゃいけない事を言ったとうつむきながら、僕に聞かせちゃまずい話をしたんじゃないかと縮こまる。
奏一「あいつがお前にどう説明したか分からないけど、あいつと修二は和解した。だが、それはそれ、俺はあいつが過去にしたことは許さないし、許せない」
タカ「…」
奏一「だけどな、それはそれ。今は、探偵事務所で真面目に働いて、仲間を大事にしてる奴、そう思ってるだけだ。今のあいつのことは、あいつが努力してる限りは見守ると決めた」
タカ「奏一さん…」
奏一「それに、タカのことは昔から恨んじゃいない、俺を止めてくれただろ」
タカ「…」
奏一「あの時は悪かった。お前がそんな風に思ってるとは思わなくて、悪い事をした。あの時期は修二の事で手一杯で、自分の感情が整理できなかったから、お前を思いやることが出来なかった」
タカ「いいえ…、いいえ…、俺が悪いんです。奏一さんの気持ち考えたら、割って入るべきじゃ無かった…、けど…、俺、あの人死にそうだったし…、奏一さんは本気でヤると思って…」
奏一「あぁ、タカが止めなかったら、俺は百目鬼を殺してた」
………。
タカさんは、現場に居たんだ。
…じゃあ、修二がどんな目にあわされたか、本当の事を知ってる人。
奏一「だから、感謝してる。タカのおかげで、弟に犯罪者の身内を作らずに済んだ。あの時は本当にすまなかった。怪我は…、大丈夫だったか?」
奏一さんが、タカさんの腕に触れる。
コートで見えないけど…、もしかしたら、腕を怪我させたのかも…。
ってか、修二を救出に行った奏一さんが、修二の状態を見てキレたのを止めに入ったのなら、タカさん相当怪我したんじゃない?
だって、百目鬼さん入院したって…
タカ「こんなの平気です」
奏一「本当にすまなかった」
タカ「謝らないで下さい、本当に、俺には何も出来なくて…、謝らなきゃいけないのは俺の方だから、謝らないで下さい、すいませんでした…」
奏一「俺が悪かったんだから、お前は謝んな」
タカ「…でも…」
謝り続ける二人。埒が明かなそうなので、あえて話題を変えて口を挟んだ。
マキ「あのー…、奏一さん、お話中ごめんね。結局百目鬼さんは何て言ってました?」
奏一「あぁ、ごめんごめん。あいつは隣の駅で待機してる。それ以上こっちには近づけないそうだ。まぁ、丁度あいつの実家がある駅だけどな」
マキ「百目鬼さん、帰るのかな?実家でゆっくりすればいいのに」
奏一「そう言ったんだけどな、マキに会えなくて寂しいと駄々っ子になってた」
マキ「ふえっ?!」
駄々っ子?!、あの百目鬼さんが!?
奏一「というわけでタカ、マキを連れてってやってくれ、あいつうざくてしょうがない」
タカ「あっ、はい!」
奏一「あいつのとこで働くのか?」
タカ「…はい」
奏一「緋色は知ってんのか」
タカ「いいえ、緋色には言わないつもりです」
奏一「そうか。……タカ、今度ゆっくり飲もうな」
タカ「ッ……、……。ありがとうございます…」
タカさんは目頭を熱くして深々頭を下げた。
その姿を見た時。
なんとなく、百目鬼さんがワザとタカさんをココによこした気がした。
タカさんが奏一さんと会えないでいるのを知ってて…
タカさんに何も言わず。
…もぉ…、いきなり知らない人出てきたからびっくりしたじゃんか…、言ってくれればいいのに…。
ってか…。
タカさんの素性もなんとなく分かって
奏一さんと仲直りできて…ハッピーエンドなんだろうけど…
タカさんが百目鬼事務所に雇われるって言うのはマジな話なのね…。
…。
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