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まだまだ遠い……
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ユリが買ってきたお土産がみんなに配られた。
ストロープワッフルやチーズといった定番のもの、また、ユリとつよしと仲の良いらしいマキには、デルフト陶器の青い模様の入ったティーカップセット。
そして、俺には…
賢史「なんでチョコ?」
どこにでも売ってるチョコレート。
つよし「ご、ご、ごめんなさい賢史さん、ちゃ、ちゃんとしたお土産買おうとしたんです。で、で、でも、ユリちゃんが…」
申し訳なさそうに言う、つよしにたいしてユリはふてぶてしい程の上から目線。
ユリ「お土産があるだけありがたく思いなさい。つよしがお世話になってるから、どーーーしても買うって言うから用意したんだからね」
数ヶ月前、俺が、つよしをいじめっ子から救ってから、ちょくちょく顔を合わせているのが気に入らないユリは、可愛い弟に手を出すなと煩い。
エメラルドグリーンの瞳に気の強い芯のある性格、普段は女らしくしてて可愛いのに、弟が絡むとプリプリ可愛くなくなる。勿体ねぇ…
賢史「…あーあ、美人が台無しだぜ」
ユリ「なっ!」
ユリは、褒められ慣れてないのか、はたまた男だから女扱いされ慣れてないのか、本当のことなのにいちいち赤くなって嚙みつきやがる。
ユリ「そんなこと言ったってつよしのことは許さないんだから!」
賢史「別に未成年のつよしを取って食おうなんて思ってないぜ。犯罪だろ。つよしはもちょっと熟成させてからな。…ってか、人の心配するなら自分の心配したら?俺、お前なら美味しく頂くぜ」
ユリ「!!、馬鹿じゃないの!」
ニヤニヤする俺に過剰反応して真っ赤なユリはなかなか面白くて可愛い…
ユリ「あんたは大好きな百目鬼さんでも食べてりゃいいのよ!」
…、やっぱ可愛くねぇ…
賢史「キモいこと言うな!冗談じゃない、あんなごついの誰が食うか!」
ユリ「なによ、いつも酔っ払って愚痴愚痴『神が…、神が…』ってそればっかりのくせに!」
賢史「はぁー?!」
ヒートアップする俺たちに挟まれて、つよしがオロオロしていると、神を取られちゃ困ると女王様が現れた。
マキ「やだぁー、ユリちゃん酷ーい、百目鬼さんとイチャイチャするのは僕だけなんだよぉー」
くねくねかわい子ぶりっ子で頬を膨らまし、ユリに後ろからのしかかったマキは、自分の胸元を広げてユリに神との跡を見せびらかして妖艶に笑った。
マキ「ふふ♪昨日も一昨日もいっぱいシたんだ♪」
ユリ「きゃー、羨ましい!ヤンチャなケダモノさんにマキちゃんのピンクのお胸齧られちゃったのぉー」
見せびらかすマキに、ユリはシャツの中を覗き込んで羨ましそうに絶叫するから、どれどれって俺も覗こうとしたら、後ろから神に拳骨で殴られ、怒れる神はそのまま女王様の頭を叩いた。
マキ「痛ぁーい」
百目鬼「貴様は何やってんだ!」
マキ「百目鬼さんのつけてくれた跡自慢してるの♪」
百目鬼「アホか!」
アホはお前だ神。
女王様が服着てたって隠れないところに跡残しまくっといてよくそんな事言えたもんだ。
お子様に刺激が強いのか、つよしは俺の隣で真っ赤になってワタワタしてるし。
ユリは羨ましそうにうっとりしてやがるし。
ほんと、遅い春を満喫してる神にはホッともするが、ラブラブバカップルにはほんと呆れる。
そう、神は、獰猛な猛獣から馬鹿に成り下がった。
数日後。
正月休みも終わり、みんな通常運転に戻った頃。
神が相談があると言ってきた。
どうせ、実家挨拶の件か来月に迫った女王様の誕生日の話だと思ったのだが…
百目鬼「……妹の蘭が事務所に顔を出すようになってマキに絡む…」
ドス黒いオーラを背負い込んで頭を抱える神…
賢史「え?…バレたの?」
百目鬼「いや…、偵察って感じで、マキが上手くかわすからなにも掴めないんだろう。マキのポーカーフェイスは完璧すぎるからな」
確かに、女王様から尻尾を掴むのはできないだろう。
俺ですら尻尾を掴めなかったんだから…。
賢史「で?、蘭ちゃんはなんか言ってきてるの?」
百目鬼「…結婚するのか?とか、彼女がいるなら紹介しろとか…」
賢史「蘭ちゃんお兄ちゃん子だからな…」
神の義理の妹の蘭は、長女で、親が再婚するまで働き詰めの母親の代わりに幼い兄弟を守っていた。再婚後神という兄ができ、お兄ちゃんが欲しかったんだとずいぶん喜んでたし、神は、懐いてくる蘭を不器用ながら可愛がってた。弟や妹の面倒を見たり、ご飯作ったり、今まで蘭が一人で背負い込んでたものを神が黙って一緒にやった時から、蘭はかなりのお兄ちゃん子。
賢史「婆さんだけに紹介って訳にはいかなくなりそうだな」
百目鬼「いや、紹介は出来るが…、カミングアウトするつもりはない」
賢史「バレたら反対されそう?、義理だからみんなには理解してもらえそうに無いのが怖い?」
百目鬼「いろいろあるが、一番の心配はマキの事だ」
賢史「女王様?、女王様ならどんな状況でも上手くやりそうだけど」
百目鬼「…、俺があいつを養子縁組にするのは、家族になるためだ。あいつに、家族の温かみを教えてやりたいからだ」
賢史「……」
…独占欲が一番だと思ってたが…。
賢史「男二人っきりで?」
百目鬼「…普通の家庭は味わえないが、俺が知ってるものは全部与えてやれる。あいつの間違った根本に教え込んでやるんだ。俺は、本気でマキを離すつもりは無いし、全身全霊で寄っかかれるのは俺だって叩き込んでやる」
マキは、一人きりで生きる事に慣れすぎた。
だからなのか…、神をあんだけ好き好き言いながら、客観的に自分や周りをみすぎる事がある。
あんなラブラブだと言いながら、まだ、澄ました顔する時がある。
まぁ、どれもこれも、神が乙女心の分からない鈍感野郎だからいけないんだけどな…
賢史「お前に出来るのぉ?相手は女王様だぜぇ?手綱握られて完全にヨシヨシされちゃってる癖に、全身全霊で寄っかかってんのはお前だろ?」
百目鬼「…………」
賢史「………、そこはカッコよく反論しようよ神君」
百目鬼「…あいつは俺の事を俺より見透かしてる。あいつに言われて気づかされる事ばかりだ。…そこは、抗っても変わらない、マキを包めるほど大きな懐になるには、自分の欠点に抗ってばかりじゃダメだ、認めて消化しなきゃ。マキには勝てない」
賢史「きゃー、成長したのね神君、だから最近マキ様を襲いまくりなのね」
百目鬼「うっさい!あれは俺のせいばっかじゃ…、マキが…、あいつが!!」
賢史「クソ可愛いから?」
百目鬼「ッ!?!?、バッ!!違っ!!」
おーおー、テンパってるテンパってる。
百目鬼「構ってやらないと直ぐむつや奏一に攫われちまうんだよ!!」
賢史「マキ様モッテモテだなー」
百目鬼「他人事だと思いやがって!」
賢史「ハハッ、マキ様が心変わりするわけでもねぇーだろーに」
百目鬼「そッ…」
えー…そこ、詰まっちゃうの?
賢史「は?なんつー顔してんだよ。マキ様が、あの女王様が他の誰かを好きになるとでも疑ってるのか?」
あんなベタ惚れなのに。
夏に一度別れた時の号泣に、その後の憔悴具合といい、あんなの見て、他に行くと思うのか?
百目鬼「……そ、…そうじゃ無いが…」
賢史「…が?」
百目鬼「…」
賢史「なんだよ!全身全霊で寄っかからせるんだろ!」
百目鬼「……、マキが…」
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