アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
まだまだ遠いい……
-
.
急いで電話したら、神は青森を出るため空港で座席のキャンセル待ちをしていた。
流石、マキ大好き過ぎる男、神君。
マキが待ち合わせ場所に来ないと伝えてわずか15分、青森に雪が積もってなかったら、とっくに車でこっちに向かってたとさ。神の行動力の早さに驚愕する。
神には、
「マキは無事だった。具合を悪くした人を見つけて介抱してた。今俺と一緒で先生様の所に向かってる」
と、神に俺が説明したが、信じてない神は、電話をマキに代われとご立腹状態で、マキに代わった途端、携帯からはっきり聞こえ漏れるほどの大声で「またなんか隠してるのか!!」って、マキを怒鳴りつけた。
百目鬼『本当になんとも無いんだろうな!?』
マキ「心配かけてごめんね♪でも、人助けしてちょっと待ち合わせに遅れただけだから♪」
へらへらマキが答えるから、神はまったく信用しないし、仕方ないので先生様にも口裏を合わせて貰い、神を説得した。
もぉー神君ってば、可愛いマキが心配なのも、溝呂木や朱雀や実の兄に狙われる心配があるのも分かるが、なんで全部怒りの感情に結びついちまうのかな。「心配したぞ」って優しく言えば良いだけなのに…。
まぁ、本人は嫌という程自覚してるし治そうと努力してはいるんだが、思うようにいかない。まぁ、それが神なんだが。
神がこの場にいたら、マキに詰め寄って怒鳴り散らして、速攻担いでお仕置きに篭っちまったに違いない。
はぁ、ほんと馬鹿だよな、良いやつなのに、怒っちまうからマキを泣かせちまって。神君そんなんだから、人気無いんだし、周りに怖がられるんだぞ。本当は心配性で優しいのに怒ったり、世話焼きで律儀なのに口悪く怒鳴るし…、だから、今までずっと恋愛が上手くいかなくて、好きになったやつにとことん嫌われる結果になったのに。
まぁ、この二人の場合、神だけが悪いわけじゃ無いんだがな。マキも悪い。こんな顔が綺麗で可愛らしい癖に、直ぐ面倒ごとに首突っ込むし、神を守るとか言い出すし、そこについては未だ反省してないし。ってか、容姿や性格的には、マキより〝修二〟の方が上手くいったんだろうに、神が修二を好き過ぎて暴走しやがるから嫌われちまうし。
賢史「マキ、お前って、ホント大人しくできないのな」
マキ「テヘ♪」
賢史「可愛く笑ってもダメだぞ、神と付き合ってんだから、そうゆうとこ自覚しろよ。あいつ心配しすぎでハゲちまうぞ」
マキ「百目鬼さんのお父さんフサフサだから大丈夫だし、ハゲても可愛いから大丈夫♪」
賢史「…。そうゆう問題じゃなくて、怒られて泣くのはお前なんだから、神を怒らせるなって言ってんの」
マキ「百目鬼さんは怒っても可愛いから大丈夫♪」
キャピキャピ答えるなー!!
怒って泣かされて困るのお前だろ!
そんでもって嫌われたって泣くのもお前だろ!
しかも、そんな怒ってばっかの神に、お前が愛想つかして別たいなんてことになったら、結局神が泣くことになんだよ!
だからまず、お前が泣かされないように努力しろ!
賢史「ハァー、…心配してやってんだろ」
マキ「僕、か弱くないよ、結構強いんだからぁ♪」
賢史「細っちい腕で力こぶ作るな」
マキ「最近、奏一さんに痴漢対策教わったしぃ♪、後、大勢に囲まれた時の対処法とかぁ」
賢史「…また、神に激怒されて泣いても、味方してやんないからな」
マキ「…、大丈夫。神さんが悲しくなるような事は、もう、二度としない。絶対しない」
ふざけてへらへらしてたマキが、やたらと真っ直ぐした瞳で見つめてきた。
どこか信用しきれない綺麗な笑顔だが、その瞳だけは、決意を持った強い眼差しだった。
…。
本当なんだろうとは思う。
マキが神を悲しませたくないのは…
だが、マキのその強過ぎる意思は、逆に心配の種になる。
神の為ならなんでもやると…
…どうしてそう、二人して気性が荒いのか…
もっと穏やかになれないのか…
賢史「……、たっく、全然大丈夫そうじゃないじゃねぇか…」
マキ「心配してくれてありがとう♪賢史さん優しいね♪」
優しいとかじゃねーんだよ。俺が優しいとかじゃなくて、お前がお前自身に優しくなれよ。あーもー、こいつホント頑固。もー、ホント、どう言ったら伝わんだ。この分からず屋。
賢史「ッ…。お前の心配なんかしてねーよ。そうやってへらへらすっから神が心配すんだろ、『マキが甘えてくれないー』とか拗ねるんじゃんか。…」
マキ「賢史さんが心配してるようなことにはならないよ。僕は、ちゃんと神さんを知ってる。優しいところも、面倒見が良いところも、気遣いやさんで、愛情たっぷりの美味しいご飯作ってくれて、いろんな所に連れてってくれて、仲直り仕方が分からなくて可愛いプレゼントくれちゃう人。だから、そんな可愛い神さんが怒鳴ったところで〝僕の気持ちが変わるなんてことはないから〟こんなんでも、僕ってば結構一途なんだよ♪」
見透かすように笑ったマキは、なんとも言えない表情でそんなことを言う。
賢史「バーカ、神はもっと一途だ」
マキ「知ってる♪、神さんはとっても一途だよ♪」
その瞳は、マキが神を好きな気持ちは変わらないといった時より、自信なさげで腹が立つ。
賢史「お前のそうゆう無駄に強いところが、神と合わねぇんだよ。ちったぁお前も変われよ」
マキ「ふふ♪、僕が変わっても、神さんを守りたい気持ちは変わんないよ♪」
言葉に含みがあるやり取り。
その裏に隠れてるものを、マキは見透かすくせに、自分は晒さない。
賢史「ちったー大人しくなれよ、そんなんだからいつまでも仲良しこよしになれないんだろ。お前と付き合ってるより、修二とでも付き合ってくれた方がよっぽど神は落ち着いてたろうに。お前みたいなのはホント神を逆撫でするばっかりじゃんか、だから反対したんだぞ。最近はまぁまぁ良くなってきたとはいえ、もう少し見習って大人しくなれよ、修二みたいに」
…。
マキ「……、ふふ♪、ごめんちゃい♪♪」
…。
賢史「ごめんなちゃい♪じゃねーだろ」
マキ「ごめんね、いい子にします」
賢史「そうしてくれ…」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
76 / 170