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まだまだ遠い……。
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翌日。
面倒なことが分かった。
逃げた男たちは、素人AVやノンケレイプなど、一般人をナンパして出演させる裏モノDVDを作ってる奴らだった。
マキが保護した男の子以外で、すでに被害届が出ていて、逃げた男たちが乗った車のナンバーが同一のものだった。
被害者は、お小遣い稼ぎにモデルをやらないかと声をかけられ、ホテルに連れて行かれて脱がされSEXを強要されたらしい。
マキが助け出した男の子は、興奮状態とパニックから俺には何も話してくれなかった。
マキによると、男の子は田舎から出てきた一人暮らしの大学3年生。彼は、同性の男に襲われたショックから、なかなか被害の内容を話すことができないでいた。
まぁ、そうだよな、男に連れ込まれてAV撮られたなんて人に話したくないよな。
この件に関しては、マキが先生様の元でカウンセリングしてくれるようにしてもらい。マキはその男の子の心のケアを買って出た。
マキがなんにでもホイホイ首を突っ込む癖は、もう一生治んないんだろう。
ホントいつか痛い目に遭うぞ。
ってか!もうすでに一度痛い目に遭ってんだろうが!
何故懲りない!
そう心の中で突っ込んでも、マキはあの不敵な笑みで大丈夫とほざきながらトラブルの中に飛び込むんだなぁ…。
…。
犯人の特徴や、被害届を出す気がないか尋ねに先生様のところに行くと、そこにはすでにマキがいた。
マキ「賢史さんこんにちは♪」
賢史「…、神は、まだ帰ってこないのか」
呆れて聞くと、居ないからこうしてるんじゃんと言わんばかりににこやかに微笑む女王様。
マキ「まだだよぉー♪、雪が積もってて動きづらいんだってぇー、明後日には帰ってくるよ♪もぉ寂しんぼさんだなぁ賢史さんは」
寂しいのは、お前だろ。
賢史「お前、昨日はここに泊まったのか?」
マキ「うん、太郎くんが泊まったから」
賢史「タロウ?」
マキ「あぁ、昨日の男の子、太郎君」
賢史「身元が分かったのか?」
男の子、太郎は、親に連絡されたくないと昨日は身元を明かさなかった。
昨日はとにかく落ち着かせるために、未成年じゃないかだけ確認して、先生様に預けていた。
マキ「うん、聞いたよ。先生には聞けば分かるし、太郎君も落ち着いたから話せると思うよ」
賢史「分かった」
先生様の力なのか、それとも、マキの力なのか分からないが、話ができるくらい落ち着いたなら良かった。
俺は急ぎ足で、まず先生様の居る診察室へ向かった。
だが、事態はややこしい方向へ転んでいた。
結論から言うと、太郎は奴らを訴える気は無いらしい。
何故なら…
賢史「え?プレイ?」
先生「そう。太郎くんは彼氏と友達と強姦プレイをやってと言い張ってる」
そんなわけないだろ、と、俺も先生様も意見は同じなんだろう。先生様は呆れた顔をしていた。
賢史「太郎君は、助けた時、明らかにラッシュを使われてて興奮状態で瞳孔が開いてた。それに、プレイっていう割には、震えてパニック状態だった。それはマキも見てるし…」
先生「ああ、使われたのはラッシュだ。抵抗したんだろう手首の縛られた跡は随分擦り傷だらけだった」
賢史「…。撮られた映像をばら撒かれるのを恐れて嘘を?」
先生「いや、まぁ、それもあるだろうが…、マキが言うには、誰かを庇ってる感じだったそうだ」
マキが話を聞き出したのか。
やっぱ首突っ込む気満々かよ。
ってか、庇うって誰を?
彼氏か?…だが、無理やりだったのは状況で明らかだし、逃げた奴らがゲイものAVを撮ってたのは明らかだ。…となると。太郎は彼氏に売られたか?
先生「薬を使われてるし、擦り傷もある、一応性病の検査もして昨晩は病室に泊めたが、本人は家に帰りたがってるし、警察は呼ばないで欲しいと言われてる」
事件性は十分あるが、本人が訴える気が無いなら、残念だが警察はどうしようもできない。
こういうのは、稀な事じゃない。
本人が事件にしたくない、といえば、警察は引かざるえないし。逆に、本人が事件にしたいと言っても、証拠が無ければ警察は動けない。
こういう事があると、俺は大抵、被害者や、その親に、百目鬼探偵事務所の話をする。営業ってほどじゃない、何か新しい証拠があればと漏らし、知り合いに探偵がいると話す。そうすると、自分の力ではどうにもできないと途方にくれた時に、百目鬼探偵事務所に相談に行く人もいる。
百目鬼は、昔朱雀に所属していたから、裏に顔が効く。こういう時すごく頼りになるんだが…
何か裏があるにしても、被害者本人が〝なんでもない〟という事をどうこうは出来ない。
やりきれない気持ちでいると、帰り際にマキが声を掛けてきた。
マキ「賢史さん、太郎君は大丈夫だよ」
相変わらず意味深な物言いで、一見天使みたいな優しい笑みだが。女王様の正体を知ってる俺からすれば、胡散臭さ極まりない。
賢史「…どうしてそんな事分かる」
マキ「守秘義務があるから言えないけど、太郎君は大丈夫だよ」
マキの瞳は真っ直ぐで、優しく微笑んでいた。
賢史「…、マキ様降臨か?」
マキ「ふふ♪」
そうやって、噂にあるように、色々な人の悩みを聞いて解決するマキ様やってんのか?
賢史「お前、マジこれ以上は首突っ込むなよ。猛獣ちゃんが泣いちゃうぜ」
マキ「はーい♪いい子にしてまーす♪」
って!
お前の言う〝いい子〟ほど信用ならないもんはない。
神くぅーん!早く帰ってこないと女王様がおいたしちゃいま…
いや、すでにしてますよぉー!!
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